・・・よろしくお願いします! では、まず最初にお二人の経歴を教えてください。
Shuma:僕は映像をはじめる前は、アクション俳優を目指してました。地元は愛知なんですけど、子どもの時から「ショーコスギ」というハリウッドの忍者映画で一時代を築いた人の塾でずっと練習してて。なので、映像には興味ありましたね。つくる側に回ったのは高校の文化祭の時、ちょっとしたショートフィルムを制作したくらいで、その時はこれもおもしろいなぁと思いつつ、その後は特に何もやらずでした。それから専門学校の時にとりあえずバイトしようと思って、特に選んだりもせず8〜9個くらいバイトの面接に行ったんですけど全部落ちて。笑
Shuma:友達に紹介してもらったマックとか、映画館とか、ミスドとか、新聞配達とか、全部落ちました。笑
そんな状況でタウンワークを見てたら、未経験可のブライダル映像のバイト募集があって、そこが僕のことを雇ってくれたのがきっかけで映像をはじめましたね。
浦:それは、当時めちゃめちゃ尖ってたとかなんですか?笑
Shuma:多分、舐めてたんだと思います。ブライダル映像のバイト面接でも、やはり遅刻しちゃって・・・。
Shuma:舐めてたんです。それで履歴書を出すじゃないですか、手元に糊がなかったので写真は貼ってなくて・・・「まぁ、大丈夫か〜」なんて思って履歴書を出したんですけど「写真は?」とも聞かれなかったから「大丈夫だった!」と思って。でも、後になって社長に聞いたんですけど「こいつは何者かになるか大馬鹿のどっちかだから、おもしろそうだし採用してみよう」って流れだったらしいです。そこで採ってもらったから、今があるという。笑
浦:その社長には大感謝ですね。じゃあ、それがきっかけになってこの業界に入ったんですか?
Shuma:そうですね。そこで映像の基礎を学びました。僕は、エンドロールのバイトだったんです。
Shuma:両方でしたね。構成考えて、撮影して、編集してっていう感じでワンオペで一通りやって・・・そこで一応、基礎中の基礎は覚えました。
Shuma:やっぱり楽しさは感じていましたね。最近は映像も華のある職業というか、なりたい職業って感じだと思うんですけど、10年くらい前は意外と憧れみたいな感じではなくて、現実に満足いっていないとか楽しく生きられていない人たちが、その感情を吐き出すための職業ってイメージだったような。笑
少なくとも、僕は話すことがあまり得意ではないので、ゆっくり考えられる「映像」っていう媒体は、すごい魅力的でした。
浦:へ〜、そういえばShumaさんは、いつ bird and insect に入ったんですか?
Shuma:4年前くらいですかね。今と比べると、まだオフィスもだいぶすっからかんというかスペースも余っていて。
Shuma:ですね。だいぶ少なかったです、確か7〜8人とか。
浦:加入前、僕の中でのbirdのイメージといったら、実は林さん(虎太郎)とShumaさんなんですよね、YouTubeチャンネルから認知したので、birdのことはムービー系しかほぼ知らなくて、shuntaroさんのことやスチールに関しては、あまり知らなかったんですよ。
Shuma:前まではshuntaroさんもムービーはそんなにやっていなかったですし、ちょっと前は経営の方に全振りしてる感があって、一時期は作品撮りとかもそんなにしていなかったイメージですけど、最近はすごい精力的につくりまくっていますよね。
Shumaくんとbirdの最初の接点は、濵田さん (現 bird and insect テクニカルディレクター) のレンズセミナーの時だったと思うけど、あの時はShumaくんはどんな状態だったの?
Shuma:あの時は25歳くらいで東京出てきて、都内のイケてるポストプロダクションにインターンで行っていた時でした。
浦:ディレクターとかではなく完全なポスプロだったんですか?
Shuma:そこはポスプロでしたね。インターンができることは、ほとんど雑用みたいな感じでした。
むちゃくちゃかっこいいなと思ってたんですけど、すぐ辞めて・・・そっから1年ぐらいぷらぷらしてましたよ。
浦:その1年くらいは何を・・・ディレクターShumaとしてのルーツというか、そういうのってなんなんだろうって。
Shuma:それまでは、特にこれといった作品とか全然できてなかったんですけど、東京に来てbirdと出会う少し前くらいから徐々に作品とかつくりはじめたり、同世代でいろいろやっている人と出会って、ノリでとにかくやろうっていう時期でしたね。
じゃあ次は、浦さんが映像をはじめたきっかけを教えてください。
でも、それこそShumaさんと近いんですけど、高校生の時に友だちとカメラを回して遊んでて、神社とかでしょうもない作品を撮って、iMovieで編集して・・・みたいなことを高校の時に少しやってて、その時からもう映像やりたいなって思ってましたね。その後、通っていたのは福岡にある普通の大学なんですけど、映画サークルで自主映画を作ったりしていて、その中でも大きかったのは大学1年の時に、商業映画のボランティアスタッフで夏休みの2ヶ月間ずっと映画にベタつきだったんです。「おっぱいバレー」っていう映画なんですけど。
浦:そうです。あれは全編、北九州でした。大学1年の夏休みの何でもできる時間をそこに費やしちゃったら、そこから抜け出せなくったというか、どっぷりハマって中毒になっちゃった感じです。笑
それを経て、大学在学中はずっと作品を撮ったり、映画の撮影が北九州であったらスタッフとして参加したりっていう生活をしていました。その時は制作見習いだったので、現場がしっかり見れるとかではなく、撮影時の人止めとか、道路で人や車を捌いたり、休憩中のご飯を配膳したりとか、雨降ったら晴れのシーンを作るために水溜りの水をスポンジでちまちま吸収したり、そういう雑用ばっかりやっていました。でも、それが楽しかったんだなと思いますね。
Shuma:すごい・・・真っ当な・・・全然そんな選択肢を僕は見つけられなかったから。
浦:そこからは映像というか映画業界に入りたいと思ってたんですけど、親が厳しくて「映像業界なんて、普通の人がやるものじゃない!」みたいな感じで。笑
「せめて会社に所属しないと駄目だ!」みたいな。映画業界って言ったら、東京に出てきて知り合った人にフリーで働かせてくださいって言ったら、おそらく業界には入れたと思うんですよ。でも仕方ないから「東京 映像の制作会社」で調べて、アイウエオ順で出てきた上から一個目か二個目のところに入りました。
そこではいろんな映像制作をやっていて、ドラマもやってたし映画監督も所属してたんで「ここだ」と思って応募しました。トントン拍子で進んだんですけど、いざ入社したらニュース番組に配属されちゃって。
Shuma:テレビの制作会社のAD的な感じですか?
浦:まさにテレビの制作会社のADをやってました。全国放送の朝の生放送の情報番組を担当していましたね。
Shuma:きつそうですよね~・・・特にADさんは。
僕もニュース番組のテロップとか事故再現のCGをやってた時期があって、ADさんが発注しに来たりするんですけど、目がイってるな〜っていう感じの人ばっかりでした。何日寝てないんだろうこの人・・・みたいな。
浦:シフト制だったので、寝れる時は寝れるんですけど、局所的に寝られない時は全然寝れない感じがしばらく続いて、「ニュースやりたくないじゃん俺、ドラマとかが映画とかがやりたいのに」って不満を抱えて辞めてから、いろんなところを転々としていました。
ちなみに、一回映像業界からも離れました。ずっと映像の仕事をやることしか考えてこなかったんで、離れてみたらどうなんだろうと思って、全く違うサラリーマンを2年ぐらいやって・・・その時はトヨタにいましたよ。
浦:住んでました。なので、意外と接点あるという。笑
Shuma:ニアミ・・・いや、僕20歳の時に豊田から出ちゃってるんで、全然ミスですね。笑
そこではサラリーマンの仕事を、9時〜17時の定時で働いていて・・・ただ凄く、もどかしい気持ちになって毎晩映画を観てました。そこでやっぱり映像がやりたいってことに気付いてから、映像業界に戻ってきて、映画やったりMVやったり、いろんな規模感の映像をやってきたって感じですね。
みんな紆余曲折ありますね・・・ じゃあ次の話題に行きます。
二人ともディレクションから撮影から編集まで、なんでもやると思うんですけど、
どれをやっているときが一番楽しいですか?
浦:ディレクターとカメラマンを兼任することもあるんですけど、基本的にはカメラマンをやってる時はカメラ楽しいなと思いつつ、それが終わったら次はディレクターやりたいと思っちゃう。それでディレクターをやったら次はカメラマンやりたいって思っちゃう。どっちも多分めっちゃ好きなんだろうなって思ってます。でも編集は編集準備とかが本当に嫌いで、素材整理して、段積みして、音同期したり、ドラマとかなら素材をシーンごとに並べて分かりやすくとか、きっちりやってからじゃないと進まなくて。その作業があんまりワクワクしなくて。それ以降は編集も凄く好きなんですけどね。その前段階がいつも何か気が進まないというのはあります。
浦:自主制作とかであっても、その準備が捗らなすぎて進まない。
浦:体を動かせばなんとかなるので大丈夫ですね。編集だとデスク前でずっとちまちまやるのが苦痛で。
Shuma:それで言うと僕は撮影が一番面倒くさいです。笑
これも撮影自体は楽しいですけど、機材の選定とか発注とか、そもそも物を買ったりとか、お金を使うことが結構嫌いなので、全然ワクワクしないっていうか。笑
浦:確かにテストとか機材検証とかはあまりワクワクしないですよね。笑
Shuma:そういう意味で編集の検証は全部手元で完結するからいいんですよね。あとやっぱり最初は1人で映像始めたので、自己完結したいというのが結構あるんですよね・・・映像って規模が大きくなると人数も多くなるんですけど、僕は人数が多くなると、パフォーマンスが著しく下がるんですよ。笑
浦:人数が多いと、いろんなところを介して大変ですもんね。
Shuma:僕なんか、ただでさえ説明が下手くそなのに、お互いをあまり知らない人たちで集まっちゃったらもう終わりで。笑
そういう意味では、カメラマンとか照明も、birdでいつもやっているメンバーとやれるのは結構でかいんですよね。
まあ、話戻すと個人的にディレクターと編集って基本一緒で、そもそも編集は第二のディレクションなので、その2つは一緒だと考えると、どっちも好きですね。カメラは正直、被写体とかにもよりけり。笑
でも、プロダクト撮るのとかは楽しいなと思いますし、あと子どもとか学生とかも好きで、カメラを忘れてくれる人たちは好きですよ。
ちなみに、これまで一番辛かったことって何かありますか?
27歳ぐらいの時なんですけど、とあるアーティストの予算1億くらいのMVがあって、その案件にはプロジェクトマネージャーで入ったんですけど、監督からのムチャぶりというか、全部なんとか上手くやっといてみたいな丸投げが凄くて、当時経験も殆ど無い中、パーティー会場のような場所で、いろんなスタイルのダンサーを大量に集めないといけなくて、特殊なポールダンサーとかブランコに乗っているダンサーとか、海外のモデルさんみたいな人も欲しいっていう感じで、結局”合計250人”くらい手配して・・・それで撮影場所が郊外で2日間あったので、250人全員が周辺のホテルに泊まらなくちゃいけなかったんですけど、5時間ぐらい撮影が押して深夜になっちゃって、まともにホテルもチェックインできないし、誰がどこに泊まるのかとか質問が全部自分に来て、そんなのもうわかんねえよってパニックになっちゃって。笑
本当にあの時は思考停止して、全員何とかホテルに送り届けた後、戻って現場の片付けもやらなきゃいけないとかもあって、帰りの車の中で自分何やってるんだろうって思いはじめて、良い大人なのに涙を流しました。笑
浦:精神がまとまらなくなって、自然と涙が流れちゃうんですよ。笑
段取りがちゃんとできてないから大量のダンサー達がその辺で困ってて、ホテルに送り届けるバスも足りないし。 とにかくなだめて待ってもらって、あれが一番人生で辛かったです。
Shuma:僕はそこまでの辛い経験はないんですけど、初めてちゃんとお金が発生するブライダル映像で、式の最後に当日撮った映像のダイジェストを流すみたいなのがあるんですけど、あの結婚式のエンドロールをつくるのがプレッシャーを感じて苦痛でした。流れとしては、未経験だったので1ヶ月ぐらい研修を受けて「じゃあ今日からワンオペで行って来て」みたいな感じなんですよ。あと当時はテープだったので、撮った時間の分だけキャプチャに時間がかかるし、会社が用意してるカメラがたまに不具合を起こすのが怖いし・・・。笑
当日は式の途中でも、その都度取り込みをしないと間に合わないから、何か誓約の言葉を言っている間に、ちょっと出てキャプチャーして戻ってきて誓いのキス撮って、またガーデン集まる前にちょっとキャプチャーかけて、また戻ってフラワーシャワー撮ってみたいな感じで、どこかで集中力を切らしたら終わるんですよ。
前日とか緊張して寝れなくて、僕はそれが結構地味にきつかったかもしれないですね。
浦:何かを新しく任される時って怖いですよね。それこそ僕テレビのADやってて、昇格してデイレクター1発目の時、胃に穴開くんじゃないかってくらいの気持ちでした。笑
一人で地方行ってロケ撮ってこいって言われて、終わった後なんか胃が痛くなっちゃって・・・極度のストレスが集中的に来るから。
Shuma:それで得られた経験もあって、「撮れないものは撮れない」って割り切れるんですよね。場所の都合上、理想のアングルに回れないとか。ちょっと式の工程が予定より早まっちゃって上手く撮れなかったとか絶対的にあるから・・・逆に、どんな素材が来ても編集とかで何とか形にまとめるというか、撮り逃してもそれをカバーする練習をするみたいな。
浦:編集でもう1個ディレクションするから、みたいなところには少し繋がってきますよね。
Shuma:そうそう、そっちタイプの脳かもしれません。編集でどうにか良くするみたいな。力業というか、やれちゃうんですよね。ウエディングとかはMVみたいなものなので、最悪カット繋がってなくてもリズムでハメちゃうとか、割とゴリ押しできちゃう時もある。
さっきのポジションの話の時に思ったのが、僕は撮影現場が大好きで、みんなでやれる方が好きなんですよ。そういう意味でShumaさんとはタイプが違いますね。いろんな人が、いろんな場所で試行錯誤しながら完成するものが、多分1番クオリティが上がるっていう気持ちがあって、それは僕のルーツが映画の現場だからだと思います。みんなでいろいろやった結果、良い画が撮れたらカメラマンとしてバッチリ。ディレクターの時でもみんなが持ち寄ったものを上手く調整して、いいものができたりする時が、感動したり楽しい瞬間かなって思います。
完成を見据えた上で判断はもちろんしますけど、最終的にはお任せしたりとか、最近はそういう楽しみがすごく分かってきて、自分でカメラ回していることも多かったので、いろんなことを考えながらやってたんですけど、仲間に委ねる楽しさというのはすごく最近思います。
Shuma:何かそれは年齢的なものがあるんですかね・・・
Shuma:僕も最近そうかもしれなくて、もう大人なんだから、もうちょっと人の話をちゃんと聞いてみるか・・・みたいな。笑
浦:「俺がやりたい!やりたい!」から、だんだん落ち着いてきて、じゃあそれもやってみましょうか、とか、聞いてみたらそれもすごく良さそう!みたいなね。
・・・Shumaくんは感動したり楽しかったことはある?
Shuma:そうだな~、広告だと東北電力の映像とかは楽しいというか、やりがいはあったかな。
たまに言ってくれる人がいて、すごい嬉しいんですよね。普段は旅系の映像とかが多くて、それは基本的にはそこに実体として存在してるモノや風景を美しく格好よく見せるっていう方向性なんですけど、東北電力の映像はそれとは違う種類の映像というか、当時のことを自分の中でしっかり考えたりした上で、東北にゆかりのあるキャストの人に協力してもらって、実際に当時のことも知っている方々に、しっかり演技に落とし込んでもらって、そういう何か、しっかりと向かい合って考えて話せるのは楽しいです。それがカタチになって映像になっていく過程が。
浦:その場にいるみんなが思いを共有できてて、それがちゃんと反映できてるみたいな。時々自分もそれをすごく全身で感じれる瞬間があって、その時はやってて良かったなと思いますよね。
いい映像を撮るには、どうすればいいかっていう考えは自分の中にあったりしますか?
Shuma:最近のマインドは”つくる”っていうのはなくて、基本は”出会う”みたいな考えになってきました。
少し前までは新しいものを”つくり出そう”みたいな事を考えてたんですけど、知ってたけど、見えてなかった事に気付くとか、出会うとか、そういう考えになってきました。
Shuma:撮影に限らず、企画を考えてる時とかもそうですね。
あと作品撮りだと基本的に僕は、”生きる”と”作品をつくる”は同義なので、その時に自分自身が迷っていることとか、答えが出てないことをテーマにしたりしていて、つくっていく中で、最終的に自分の答えみたいなのが見えてくる。 だから仕事としての広告は基本的には表現のゴールがないといけないと思うんですけど、作品はゴールというよりかは、自分のゴールを見つけるための手段というのがあって、だから協力してくれる周りの人には申し訳ないんですけど、最終的にこれがどうなるのか「わからない・・・」みたいな時があります。笑
それも、きっちり決まっていたりする広告だとなかなかできないですけど、できるだけ最近は広告案件にもそういう要素を入れたりします。何となく毎年大きなテーマがあって、去年は曖昧さっていうものをテーマに制作した時もありました。
浦:毎年テーマ決めてるんですか?
Shuma:決めてるというか、何となく「それだ」みたいな、軽めの感じですけどね。
浦:なんか作家性があって羨ましいなあ。笑
浦さんはどうですか?
浦:う〜ん、、、、(しばらく悩む)
「人を巻き込む」ってことかもしれない。まず僕は、自分にめちゃめちゃ自信がないんですよ。基本的になんにも能力がないと思っているし、自分以外の人は年齢とか関係なく、自分が経験してないことを経験しているので、尊敬できると思っているんですよね。 いまどき学生とかでも何かを生み出すとかは当たり前にあるわけじゃないですか。なので尊敬できる周りの人の意見を取り入れていった方が、いい映像ができると思ってます。自分に自信がないから人に頼っちゃうみたいな。
めっちゃ他力本願スタイルなのでダメですね。笑
Shuma:いやいや、頼るのはめっちゃ大事ですよ。
浦:頼らずにいっぱい大変な目にも遭ったので、そういう考えが強いですね。
なので頼る時のコツとか、頼り方とかは気にしています。
Shuma:僕にコツ教えて下さい。笑
やっぱ人って自分もそうだけど、上手く頼られると「やってやるぞ!」ってなるじゃないですか。
浦:大事だと思うのは、今後絶対自分も頼られるように何かを返していかなきゃいけないって事は常に意識してます。 自分から何かをお願いしたら、その人には何かをしなきゃいけないと思っています。別のところで回収する感じで。
でもやっぱり裏を返せば、自分には作家性がないな〜って思ってます。だからすごくShumaさんが羨ましい。
僕、0→1の工程がすごく苦手なんです。1→10の方が圧倒的に得意なので、脚本も任せちゃおうとか。
ただ、もちろん最初の着想のこういうの撮りたい!みたいなのはありますけどね。
Shuma:浦さんが作品一番つくってるし、全然そんなことないと思いますけどね。いつもどういうテーマで撮るんですか?
浦:最近自分が作ったやつを振り返ってみると、自分の中では何か成長というか、変化も絶対に取り入れたいかなっていうのはあります。だから、何もしない登場人物を描きたくないかもしれない・・・・・・いや、これ当たり前すぎるな。笑
一同: www
(何もしない登場人物もおもしろそう)
じゃあ最後に、今後の展望を教えてもらっても良いですか?笑
Shuma:まぁでも、先週末も作品を撮ってて、それは同じシリーズでつくり続けて、プラスαとしてウェブだけでなく、実際の空間で展示したいなと思ってます。ここ最近、平面の映像に飽きてきてスマホとかPCだけでは物足りなく感じてきて、生でその世界観に没入できるような体験もやっていきたいなと思っています。映像の展示とかスチールの展示もそうだし、例えばダンサーの方々のパフォーマンスをリアルに味わえるようにしたりとか。
ただ、お金がすごくかかるし、そのお金がない笑
浦:確かに、普段から自分で作品を制作したら、何らかの方法で世に出すわけじゃないですか。YouTubeに上げるとかいろいろありますけど、観てもらう方法を増やしたり、みせかた自体に工夫を入れたいっていうのは今後の目標というか課題というか・・・僕も取り組んでいきたい部分ですね。理想を語ると作品を自由につくれる仕組みを作りたいし、みんながつくりやすい社会にしていきたい。
あと僕はbird入るまではドラマの案件とかが多くて、birdがメインでやってる案件とは少し方向性が違うものをずっとやってきたので、それをbirdのみんなと力を合わせてやってみたいです。
Shuma:これはbirdのおかげなんですけど、僕レベルの人間でも知ってくれている人も増えてきてて、特に地方での影響力が結構すごいんですよ。「ちょっとお時間ありませんか?」って、若い子が会いにきてくれるんです。岡山でもそうだし、この間は宮崎か九州の子が、用事で近くに来ていた帰りに「お話しできませんか?質問したいことやアドバイスもらいたいことがあるんです」って、わざわざ連絡してくれたりとか。
Shuma:そうそう・・・なんか東京だと会いづらいんですかね・・・
浦:確かに東京だとなかなか連絡しづらかったりするのかもしれないですね。
Shuma:なので、birdのYouTubeとかの影響力はすごいなとヒシヒシと感じます。
浦:それはもうbirdがやってきたブランディングの賜物ですよね・・・自分個人としてもやらなきゃなって思うんですけど、めっちゃむずいっすね・・・笑
Shuma:むずいっすね~。特に僕たちは見てもらわないと意味ないじゃないですか。だから自分にも多少の影響力がないと・・・やっぱりね。
浦:僕ずっとSNSはやってたんですけど、自分の名前も顔も出さなかったんですよ、2年くらい前まで。でも、それこそつくったものどんどん出してアピールしないとダメだなってことにようやく気付いてから、少しずつ知ってもらうことは増えてきましたね。最初は頑なに出したくなかったんですけど。
かっこいいっすよね。名前も顔もよくわかんないヤツだけど、作品はとにかく良いみたいな。
Shuma:でもやっぱり「ファンが付く」ってことは、この仕事をする上で凄い大事なことだから。
浦:隠れファン・・・しかも、もう知ってる人みたいな。笑
Shuma:そういう意味では、birdっていう名前を借りて出したりできると、意外とみてもらえたりしますね。
浦:確かに、僕がbirdに所属しましたって言った時に、知らない人から連絡が来たりとかして、びっくりしました。すごい影響力だなって。
浦:昔からの知人で全然最近は連絡とってなかった人とかも、人づてにSNSが回っていって「え、bird入ったんだ!」って連絡が来たりとか。結構認知されているんだなって思いました。
Shuma:まあだから、bird and insect としての話だと、最近実は京都にオフィスを借りて新たな拠点ができたんですよ。そこでは、東京でやってることとはまた違うことができたらおもしろいなと思いますね。「昔のbirdに戻る」じゃないけれど、少人数でガシガシいろんなことやってみたいな・・・京都にもたくさんおもしろいクリエイターがいるので、そういう人とコラボしたりとか、作品性のあるものにも、birdとしても挑戦したいなって思います。
浦:いろんなクリエイターたちが集う場所になれるといいですよね。
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取材:桜屋敷知直
撮影:阿部大輔