ブランディングムービー(Branding Movie)という言葉自体は、いろんな動画にくっついていますが、
じゃあ、それってどんな映像のこと?と言われると、パッとは答えられないですよね。
私たちはこのブランディングムービーを頻繁に制作している身として、
しっかりと考えをまとめないといけない、、、そう思って、早半年が過ぎました(笑)
新規加入した優秀なPRのシラトさんにせっつかれて(ありがたい!)、ようやく重い腰をあげようと思います。。
ブランディングムービーってそもそも何?
まずは、ブランディングムービーについて考える上で、「ブランディングムービー」として良いと思ったものを社内で聞いてみました!そこからいくつか抜粋しますね。
adidas Young Athletes | こどもじゃない。挑戦者だ。
radiko
https://www.youtube.com/watch?v=_jC2KFj1ynQ
Burger King
Skype campaign
https://studioaka.co.uk/Archives/skypecampaign
こうして見てみると、いろんな形のムービーがあることが分かります。
でもこれって、広告じゃないのでしょうか?
もしくはPR用のムービーとは言えない?
はたまた、、、マーケティング的なくくりで考えるべき?それともコンセプトを伝えるもの、、というくくり?
いろいろな映像を指して「ブランディングムービー」と一括りに言われることが多いですが、
じゃあ「実際、どういうものなの?」と言われると、「う、、!」ってなりますよね(笑)
私たちbird and insectは、こうしたブランディングムービーの依頼を頻繁に依頼いただき、得意としている会社ではありますが、それでもやっぱり何となくしか分かってないところもあったりしました。
そこで、せっかくの機会なので、bird and insectの考える「ブランディングムービー」とは何か?を書いてみようと思います!
ブランディングムービーの定義、、の前に
私たちのブランディングムービーの定義。いきなり結論から書いてみようと思います。
Branding Movie = Brand Identity / Fantasy / Imageをまるっと伝えるための映像
です。
え、いきなりよくわからない単語が出てきたぞ、、、ってなりますよね。。。
このBrand Identity / Fantasy / Imageって何でしょうか?
それを考えるには、まず、ブランドがそもそも何なのかを考える必要があります。
ブランドって何?
ブランドの語源としてよく言われるのは、焼印を押す意味の「Burned」からきており、自分のところの牛を他の牧場と区別するためのの刻印からきている、という説です。
そこから派生してきて、現在ではブランドとは、ある「固有名詞」のことを指すと言って良いと思います。
人物の名前をはじめ、「無印良品」とか「NIKE」とか、その名前自体がブランドだということです。
確かにこれは理解しやすいのですが、じゃあどんな固有名詞でもブランドになるかというと、そんなことはありませんよね。
聞いたこともないメーカーの商品は、ブランドとは言えないという感覚は共感いただけるかと思います。
じゃあ、その名前がブランドになるためには、何が必要なのか。
それは、この3つのファクターにあると言えるでしょう。
意味(価値性)・創造(独自性)・共感(共感性) → ブランド
これらの要素がブランドに必要なのは間違いありません。
しかし、これら一つ一つの側面から商品や会社を分析していっても、ブランドとはこうだ!という「唯一の要素」はなかなか絞れないと思います。
逆に言えば、「幾ら掘り下げてもブランドとはこれだという明示できる要素が一つに絞れない」、それがブランドの特徴だとも言えます。
例えば、無印良品のことを思い出してください。
無印良品の目指している価値観や独自性、共感ポイントなどが次々と浮かんでくるはずです。
でも、それをまるっとパクって誰かが同じことをしても、それは無印良品というブランドにはならないですよね。
商品を見ても同様で「これって無地っぽいね」っていう何となくの共感出来るイメージはあっても、じゃあそれは明確に何なのかはうまく説明できないんじゃないでしょうか?
実際の形や性能が他社の製品とすごく似通っている時ですらも明確に感じる「ブランド感」って何なのか。
これは中々うまく説明できないはずです。
じゃあさ、ブランドってどういうものって説明すればいいの?、と思いますよね(笑)
実は、上の無印良品の説明で使った「イメージ」という言葉、これがほぼブランドの正体と言っても良いのではないでしょうか。
ある「固有名詞」を聞いた時に、ふっと頭に浮かぶ共通した「イメージ」の連想。
これがブランドの正体だと言えます。
すごく短い言葉でまとめると、「世界観」や「文化」といっても良いかもしれません。
ブランド = 強固なイメージの連なり、つまり世界観やファンタジーをみんなが抱いているもの
こういう図式が見えてきました。
ようやく、何となく、ブランドっていうものの正体が分かってきたと思います。
ブランディングムービーとは・・
私たちは、「ブランド」を作り上げていく/伝えていくことに対して、動画というメディアの活用が最適だと思っています。
なぜなら、動画そのものはイメージの連鎖で出来ており、その連鎖で伝えたいメッセージを観ている人にインプットすることができるからです。
そして、動画というメディアには、伝えられる情報量がとても多いという特徴があります。
1分間の動画には、Webサイト3600P分の情報量があるそうなので、伝えたい世界観を「まるっと」伝えることは、動画の得意分野と言えるでしょう。
ここまで、ブランドについて考えてきて、それを伝えるのに動画が最適ではないか、というお話をしてきました。
そこから言えることが、ブランディングムービーとは、プロダクトや会社などが持っている(目指している)世界観やイメージ、雰囲気を的確に伝え続けるための動画である、という定義です。
それをもっと簡潔にいうと、
Branding Movie = Brand Identity / Fantasy / Imageをまるっと伝えるための映像
という最初の定義になります。
これで、ブランディングムービーの定義は何となく見えてきました。
じゃあ、なぜブランディングムービーを作る必要があるのか。
そんなのは従来のCMや広告映像、PR映像、会社紹介VPで十分では??という疑問も出てくるかと思います。
なぜブランディングムービーを作るべきなのか
上記の疑問は実は、、、、その通りだと思います(笑)
特にある一定以上のブランド認知を獲得している商品や企業(例えばコカコーラやNIKEなど)では、わざわざブランディングムービーを作る必要はないかもしれません。
きちんとしたブランディングの下、戦略的にCMを作り続けてきたならば、ブランドイメージやブランドファンタジーは確実に存在し、伝わっているからです。
ただ、もし会社や商品を新規に立ち上げる時、あるいは認知が全く取れてない/ブランド戦略が全然ない時、または、既存の商品のブランドの方向性を大きく転換する場合などは、ブランディングムービーを作るべきではないか、と私たちは思っています。
というのも、ブランドムービーを作ることの背景には、
「ブランドが目指すあるべき姿を、お客様、社員、パートナーなどの全ての人に表明し、認知してもらう」
という目的があるからです。
言い換えれば、ブランドの目指すべき姿や理想のコミュニケーションがそこに全て詰まっていて、何かあったらそこに立ち戻ってこれる、そういう場所を作ってあげることに他なりません。
逆に、あるべき姿や目指す場所がなければ、ブランディングムービー作れないということも言えるでしょう。
ご依頼いただいた場合に、そもそもブランド自体がきちんと考えられてないケースも当然あります。
その場合は、ブランディングのフェーズから考えて制作できなければ、ブランディングムービー作りは不可能なのです。
ブランディングムービーの効果
ブランディングムービーが何なのか、そして作る意味は何なのか。
これが見えてきたところで、実際に制作したときの効果について考えてみましょう。
当然、そこに効果があることでなければ、お金をかけて動画なんて作りませんよね(笑)
まず一つ目は、上でも少し書いてしまいましたが、
そもそものブランドが定まっていない時に、ムービー作りを軸にブランディングを行える
ということにあります。
これは、ブランド作りが出来ていない場合限定ですが、ムービーを基軸に考えることで、より具体的にブランドのあり方を考えていくことが出来ると私たちは考えています。
だからこそ、「Image Branding」という言葉を会社の肩書きとして入れているわけです。
ブランディングムービーを制作し、ブランディングについて学ぶ中で気づいたことなのですが、そもそものブランディングがしっかりしてないと、本当に制作は困難を極めます。。。。
何となく、こんなの表現が好き!っていう考えや、こんなのが視聴者にはウケる!という考えで作ってしまうと、全くブランドと関係ないブランディングムービーが出来てしまうことすらあり得ます(笑)
逆に言えば、ブランディングムービー作りは会社作りと同じで、その効果はブランド力の向上に繋がっていき、ひいては売り上げのアップにも貢献していくことにもなるんです。
次に期待できる効果は、
ファンになってもらえる
ということです。
ブランドについて知ってもらい(認知の獲得)、その世界観にいいなと思ってもらう(共感)ことで、所属するカテゴリーでの第一想起(掃除機と聞いたらダイソンのイメージが浮かぶ、というようなことです)となっていく。
この一連のプロセスが「ファンになる」ということの具体的な中身です。
その起点となっていく役割をブランドムービーが果たすことが出来る、そう思っています。
エイトブランディングデザインの西澤さん(大学の先輩で、ブランディングデザインの第一人者でもあります)は、ブランディング = 伝言ゲームと仰っています(分かりやすい・・)。
伝言ゲームをするときに、頭にイメージを浮かべやすくする/適切なイメージを抱いてもらうためのツールとして、ブランディングムービーは効果を発揮すると言えるでしょう。
これは商品の購買に繋がるだけではなく、採用などにおいても大きな効果を発揮します。
良い世界観を描けていれば、そこに所属したいと思ってもらえます。
きちっとしたブランディングの結果、多くの人に応募していただけることは、これまでの事例でも実際に起こっていることですし、birdでも実際に起こったことです。
最後は、
インナーブランディングに効く
ということです。
これは言わずもがな、かもしれませんが。。。みんなが同じイメージを抱き、同じ目的地を見据えていれば、会社というのは適切に成長していきます。
ですが、実際にはそうしたイメージは会社が存続する中で見えにくくなっていくことが大半です。
そこで、ブランディングムービーを何度も見返したり、営業時などにお客様にお見せしながら話すことで、会社の社員の方々にブランドのイメージをまるっとインストールすることが出来る、そうした効果がかなり期待できると思います。
これがもしかしたら、一番大きな利点と言えるかもしれません。
こうした取り組みは、業績へ間違いなく反映します。
ところで、上記の3つの効果、どれも何となく効果がありそうですが、全く定量的(数字で表せること)ではないですよね。
従来の広告の動画などは、マーケティングの領域から考えることが多いと思いますが、そうした場合にはKPIなどの数値目標を作ることが可能です。
特にwebムービーなどは顕著にコンバージョンを追いかけることが出来ますし、それでクリエイティブの良し悪しまで判断されてしまうこともあります。
しかし、ことブランディングの分野から考えるときは、定量的な数値に置き換えることは非常に難しくなります。
基本的にはアンケート調査のような形でしか数値化することは不可能な世界とも言われていたりします。
確かに、ブランディングムービーには、KPIを測りづらい部分が正直あります。
分かりやすいクリック率に繋がってこない、商品が直接的に売れるわけではない、というような批判もあるでしょう。
しかし私たちは、最終的には必ずブランディングムービーの制作は、会社の業績という形で成果が返ってくると考えています。
というか、そういうものでなければ、意味がないと思っています。
それは具体的にはどういうことか、ちょっとロジックで追ってみましょう(小難しい話が嫌いな人は飛ばしてください 笑)
ブランディングムービーの効果(もうちょっとロジカルな話)
結論から言えば、ブランディングムービーを含むブランディングの領域では、細かいKPIよりも大きなKGIを見据えることが大事になってきます。
故に、ブランディングをした先にあるゴール設定を考える必要があります。
この部分については、トライバルの池田さんのこの記事(「で、それやったら売れんの?」という愚問)に詳しいので読んでいただきたいのですが、ここではかいつまんでブランディングムービーの話に繋げちゃいます。
ブランディングムービーを含むブランドアクションの全ては、
*** : 「いまじゃないけど、いつか買うならXXを買いたい」という気持ちをつくる施策です。 指標としては、想起率、好意度、購入意向の3点セットが代表的です。 (「気持ち指標」)
つまり、これらのアンケートなどでしか測れない「気持ち指標」を上げていくことが、ブランディングムービーの最終的な目標と言えるでしょう。
これはtoCだけでなく、toBのサービスなどでも全く一緒です。
そして、それが実現できるとどうなるか。
*** : 「ブランド指名検索=想起集合・第一位選択」の可能性が高いので、一般的な検索ワードでの流入より、CPC(Cost Per Click:クリック単価)やCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得コスト)は(ときに圧倒的に)安くなります。つまり、ブランド指名検索 is 最高
そうなんです、「想起集合・第一位選択」は最高なんですよね(笑)
誰もがあるカテゴリーで何かしよう/何か買おうと思ったときに、最初に思い浮かべるイメージ。
それを自分のブランドのイメージと一致させられれば、圧倒的な競合優位となり、最終的には必ず売り上げなどにも反映されてくるのは間違いありません。
だからこそ、どんなイメージを抱いてもらうかを慎重に考えて設定し、そのイメージをストーリー(連想)にすることで、伝え続けることは、中長期的には物凄い競合優位性を築いていくことに繋がっていきます。
だからこそ、早い段階でしっかりとしたブランディングムービーを作り、指針を決めておくことが大事なんです。
ある意味、ブランディングムービーの中の世界観そのものがGoalであり、そこからどれくらい離れているかがKGIになると言えるでしょう。
ブランディングムービーとは何か、からどう作るのかへ
以上のようなビジネス的側面を含め、なぜブランドイメージを作る必要があるのか、ブランドファンタジーをお客様に持っていただく必要があるのか、理解していただけたかと思います。(分かりにくかったら、すみません。。。。)
そしてそれは、なぜブランディングムービーが必要で、何のためにあるのか、その理解にもつながってくるかと思います。
だからこそ「作っただけ」のムービーには何の意味もありません。
使い倒してこそのブランディングムービーなんです!
さらに言えば、大元となるブランディングムービーを起点にして、様々なPR展開も見据えた「ブランディングムービー群」を作っていくことが求められているのです。
そう、これからのコンテンツは全てが「ブランディッドコンテンツ」であることが求められていく時代になっていると私たちは考えています。
さて、ここまで会社やサービスの軸として「ブランディングムービー」がいかに使えるツールなのか、そしてそれがいかに大事かを伝えてきました。
が、じゃあ、それはどうやって作れば良いのか、どんなムービーが良いのか。
はたまた、一本のムービーだけで全部が伝わるのか、他のPR用ムービーはどういう立ち位置なのかなどなど、、
様々な疑問が残っているかと思います。
そこに関しては、また次回まとめていきたいと思いますので、乞うご期待!ということで 😀