ブランディングムービーを作ってみたいけど、どう作ったらいいのか、どんなものにしたら良いのか、見当もつかないという方は多いのではないでしょうか。
そんな皆さまにほんの入り口ですが、ブランディングムービーをどうやって考えて作っていけば良いのか、そのヒントになるようなブログを書きたいと思い、チャレンジしてみました。
まだまだ僕たちも手探りですが、何かお役に立つ内容になっていれば幸いです、、!
(あ、ちなみに具体的な映像制作の方法というより、その背景の考え方というような内容になっています)
前回のブログでは、「ブランディングムービーって何だろう?」というお話をさせていただきました。
(まだ読んでない人は、こちらからぜひ!)
そこで今回は、
「ブランディングムービーの効用は分かったよ、でも、どうやって作ったらいいんだよ、、」
という皆様に向けて、
「ブランディングムービーの作り方」についてお話しさせていただこうかと思います!
「ブランディングムービーの作り方」の前に、前回のおさらい
前回のおさらいですが、ブランディングムービーのbirdなりの定義を、再度書いておきます。
Branding Movie = Brand Identity / Fantasy / Imageをまるっと伝えるための映像
細かい内容は前回のブログを読んでいただくとして、、、この定義・前提がとても大事になります。
じゃあこの、ブランドアイデンティとかをまるっと伝える映像を作るにはどうしたら良いのか。
ただ、ちょっと待ってください、前回もサラーッと冒頭に幾つかの事例を貼りましたが、
そもそも、ブランディングムービーって、モノとしてどんなんだっけ?
ということを提示してないので、まずは、そこからいきましょう!
ブランディングムービーの型
ということで、ブランディングムービーの種類(型)をまとめてみました〜。
ざっくりとした分類ではありますが、例えば下記のような8つの種類に分類できるかと思います。
各型に対して、それに該当する事例も掲載しますね!
1:ミッションを体現する人や物、事実に着目する系
2:世界観をドラマで伝える系
https://youtu.be/w80JOMYVehE
3:世界観をイメージカット+ナレーションor字幕などで伝える系
4:メッセージをイメージカット+ナレーションor字幕などで伝える系
https://www.youtube.com/watch?v=-qnYSBDvry8&feature=youtu.be
5:RtBやUSPなどをストレートに伝える系
https://www.youtube.com/watch?v=oSDC4C3_16Y
(バーガーキングは、もっと深いブランドメッセージにも寄っていますが)
6:ブランドの歴史や開発秘話などのインタビュー+イメージカットで構成する系
https://www.youtube.com/watch?v=Yg5sc91CR-o&feature=youtu.be
(Amazing SEGAはインタビュー音声そのままではなく、ナレーションになっているので、ヤーマンとかとの間くらい)
7:ブランドメッセージを先鋭化して伝える系(ソーシャルグッドなどの、社会的視点のものが多い)
8:世界観を作り込んで、そのインパクトで勝負する系
https://youtu.be/ZR1OQmLoyI0
(最近、この系統は踊りがち)
上記の型はどれが良いとか悪いではなく、一番伝えたいことやイメージ(つまり、ブランドアイデンティティそのもの)を、どのようにターゲットの顧客に届けたいかを考え、最適な手法を選びます。
どの媒体に出すか、どこで使うかなども大事ですよね。
あ、そうそう、
1つの動画で伝えたいことは1つに絞りましょう!
上記の動画事例も全て、この原則を守っています。
だから、良い動画になっているんです。
もし、ブランドアイデンティティを伝える以外にも、例えばSDGsについても言いたい、、、というようなことがあったらどうするか。
それは、、二つ動画を作るしかありません。
何も儲けたくてそう言ってるわけではありません(笑)
例えば、「あなたの夢は何ですか?」と誰かに尋ねたとします。
その人が「あ、これもいいな、あれもいいな、あれもしたい、、、」となった場合、、、
あなたは「うん、分かった。で、一番叶えたい夢はどれなの?」ってなりますよね。
それが明確じゃないと、なんかやりたいことがボヤーっとして、
「それなら、こうしたらいいよ!」とか「この人に紹介してあげる!」みたいな行動に繋がる話にならないですよね。
その人のキャラクターも、なんかぼやーっとしてしまう。
逆に、強烈に一つのやりたいことがある人って、「あ、俳優になりたい人」とか、「映画でカンヌとりたい人」とか覚えやすいと思います。
それと同じことが、ブランドや会社にも言えるんです。
だから、一つの動画には、一つのメッセージ、
ブランディングムービーではブランドアイデンディディだけを伝える、という原則を守りましょう!
ブランディングムービーの因数分解
さてさて、上記のような型があることは分かりました。
では、次に動画を因数分解して、どんな要素でブランディングムービーが出来てるかを見てみましょう!
そうすれば、制作するときにも、その要素をひとつずつ考えることで、スムーズに制作ができます。
上記ブランディングムービーに共通する要素。
それは、大きく分けると、下記の二つです。
イメージ(Image・Style) + 言葉(Word・Code)
あ!動画なんだから当たり前だろう(笑)、って思いましたね(笑)
じゃあ、もうちょっと抽象的にいいましょう。
つまりこれは、
世界観とメッセージ
です。
上記のいろんな型は、この2つの比重をどうするのか、どこに軸足を置くのか、それが違ってるだけなんです。
逆に言えば、どんなに世界観重視のブランディングムービーであっても、伝えたいメッセージというのはあるし、
どんなにメッセージ重視でも、どうしても絵作りの問題は付きまといます。
要するに、この2つの要素の設計がすごく大事だということ!
じゃあ「世界観とメッセージ」は、どうやって出来上がるのか。
その前提には、ブランドのターゲットは誰で、どんなミッションがあって、どんな世界を目指しているのか・・・というような、ブランドの「価値創造」設計があります。
ブランドアイデンティティの中身を考える、というフェーズですね。
ここの設計が既に存在している場合は、世界観とメッセージの中身は見えているので、それをどう伝えるかという「価値伝達」について考えれば良いのですが、もし上手く定まっていなければ、ムービーを作る過程で少しずつ決めていきます。
ただ、ここはムービーの作り方というよりも、どちらかといえばブランディングの話が大半なので、、今回は細かい説明は省略させていただきます(もし気になる方がいれば、また別の機会に書きます、、!)
では、企業やサービスのブランドアイデンティティ、つまり「世界観とメッセージ」をどうやってお客様に届けるのか。
単にイメージと言葉の組み合わせとはいえ、その組み合わせ方は100個のブランドがあれば100通りあります。
その組み合わせを決めていく時の考え方をお伝えしたいと思います。
価値伝達の方法 – ブランディングムービーの作り方 –
上記の考え方として、birdでしっくりきているのがこのフローです。
課題→アイデア→エグゼキューション
これは、電通のクリエイティブディレクターである古川裕也さんの著書「すべての仕事はクリエイティブディレクションである。」に書いてあったものです。
すごくシンプルなんですが、読んだときは、自分たちのやっていることを極限まで削ぎ落としたら、こういうことだわ!
とすごくショックをうけましたw
最近はむしろ最初から、これに当てはめて考えるようになりました。
このフローに沿って、具体的にどんなイメージと言葉を使ってブランディングムービーを作るかを考えていきましょう。
まず最初はブランドアイデンティの大枠を下敷きにして、
ターゲットとなるお客様に「何を一番に伝えるべきなのか」
これを決めることから始めます。
今回のムービーで最も伝えなくてはいけないことを、ブランドムービーの「ミッション」と呼ぶとしましょう。
ミッションという言葉が紛らわしければ、コンセプトでもなんでも良いです。
注意すべきは、これはブランドのミッションやコンセプトと”イコールではない”というところです。
一番言いたいことはブランドミッションだから、それを伝えればいいやと考えがちなんですが、そのミッションはブランドのアイデンティティとして、お客様に抱いていただきたい「印象」とイコールなのかを深く考える必要があります。
ブランドミッションの中にはお客様のことだけではなく自分たちの将来のことなども内包されていますし、現在の事業のリアルと少しずれてることもあります。(それが悪いわけでなく、役割が違うということです。)
なので、あくまでお客様とのコミュニケーションの上で、ブランドから一番今伝えなくてはいけないこと。
逆に言えば、それが伝わるムービーになれば、今回は成功だと言える必要条件。
そういうブランディングムービーの「ミッション」となるものを決めることがまず大事になります。
そして、そのミッションがイメージによってしか伝わらない曖昧なものであれば、イメージ主体の映像の方が合っていますし、もし言葉としてはっきり伝えたいときは、もしかしたらナレーションで印象的に伝えるべきかもしれません。
そういう大きな方針がここで決まってきます。
次に、ミッションを伝えるための具体的なアイデアを考えます。
ミッションの段階でイメージやメッセージの大枠はなんとなく見えてきているので「何を作ったら良いのだろう、、、」という漠然とした段階でいきなり動画のアイデアを考えるよりも、ずっと考えやすくなっているはずです。
ここではより具体的に、
どのような動画の構成(ストーリー)にするか
を考えていきます。
そう、ここで最初にあげたどの型の動画にし、今回伝えたいミッションをどうやって効果的にターゲットの視聴者の頭のイメージとして定着させていくかを考えていくわけです。
でも、そうは言ってもいきなり動画のアイデアなんか、思いつきませんw
そこで、多くの著書などでも書かれていることですが、ここでは2つの考え方を紹介したいと思います。
1つは、
Surprise → Make Sense
を考えるということ。
ハッと驚き、なるほど!と膝ポンする感じです。
例えばこれは、カンヌを取った銃犯罪の啓蒙のためのムービーなんですが、、
幸せな話の前半から、いきなり事件が起こることで驚きを作って、それを最後に回収しています。
そうすることで伝えたいメッセージに対して納得感を与えている、すごく良いアイデアの参考例じゃないでしょうか。
また、上記のような驚きと納得の2つが結びつくようなアイデアを考えることで、考えた末に普通のアイデアになってしまった、、、というようなありがちな失敗を回避できます。
それって、つまり、アイデアがアイデアになっていないんですよね。
ミッションからいきなりエグゼキューションに行っちゃってます。
真面目な人ほど、実はこの罠にハマりやすいんです。。。僕らもよくハマってます(と言ってみる)
そもそも、アイデアを考える理由は、どうやってお客様に伝えたいミッションに対して興味を持ってもらうかなので、それを実現する手段としてSurprise→Make Senseという枠組みはきっと役立つはずです!!
アイデアの考え方のコツ、2つ目は
レファレンスをたくさん集めること
です。
めっちゃ当たり前といえばそうなんですが、、、それでも、動画を作るときにレファレンスをみるとパクリになるというような考え方もまだまだあると思うので、あえて書きます、、!
既に世の中にある良いアイデアやクリエイションをたくさんインプットして、それをベースにして組み合わせたり変化させたりすることで、ほとんどの世の中のアイデアは作られています。
それを知っておくことで、かなりのショートカットになるのではないでしょうか。
いきなり白紙の前で悩む必要がなくなるのですからw
ちなみにインプットには2種類あり、1つは日常のインプットです。
例えば、これまでにどれだけムービーを見てきたかというのは良いムービーを作るのにすごく重要ですし、あらゆるクリエイティブやアイデア、それこそ全く関係のない分野の知識であっても、それが集まることで新しいアイデアが生まれます。
なので、常日頃から意識してインプットして、自分の好き嫌いに気づいたり、世の中の優れたアイデアにハッとしたり、これは使えるかも、、と思ってストックしておくことがとても大事なんですね!
もう一つは今回のブランドムービーに使えそうな「ネタ」としてのインプットです。
ミッションを絞ったことで、大枠の世界観の伝え方とか、何となくどの辺にアイデアがありそうかが見えてきているんじゃないでしょうか。
そこを検索し、どんどん深ぼっていく。
そうすることで、今回のムービーにダイレクトに使えるアイデアが見つかる可能性が大きくなっていきます。
ちなみに、このインプットには偶然「同じアイデア」を使ってムービーを作ってしまわないため、という側面もあります。
例え無意識でもアイデアが一緒だと、下手するとパクリと言われてしまい逆のブランディングになってしまうこともあるので、注意が必要です。
そういう意味では、レファレンスを見てパクリになるというよりは、見ないことでパクっちゃう方が怖い!ってことですねw
さてさて、良いアイデアが見えてきたら、最後はエグゼキューション(実行)です。
ミッションを伝えるためのアイデア、これを具体的なブランディングムービーという目に見えるものに変えていきます。
動画の構成やストーリーはアイデアの段階で絞られているので、今度はその粒度を細かくしていって、
イメージと言葉に関わるディテール全てを決める
必要があります。
アイデアをコンテやタグライン、ムードボードやレファレンスなどに落とし込んで骨格を作り上げ、制作に関わる全員が共有できるように肉付けしていきます。
そして、それを元に実際に動画の撮影をし、編集をして仕上げていくわけです。
その全ての工程で、ひたすらクオリティを上げていくことがとても大事です。
本当に細かいことの積み重ねなんですが、プロフェッショナルであればあるほど、ここでの粘りを見せます。
撮影や編集などのあらゆるプロが、ムービーのプランをベースに細かい実行を積み上げていって、一見不可能なアイデアであっても実現できるように尽力していく。
そうやって、1本のブランディングムービーが出来上がります。
このフェーズでありがちな失敗としては、決定していく中で、
いろいろな意見や思惑、上司の好き嫌い(笑)などで、当初の予定から作るムービーの完成形がずれていくこと
です。
それでは、最初に考えたムービーのミッションが全く伝わらなくなってしまう可能性もあるので、こうした事態だけは避けたいですよね。
少しでも異物が入ってくれば、視聴者は確実に違和感を感じとります。
そうならないためにも、あらゆる決断において、ミッションからずれてないか、ブランドの世界観やメッセージからずれてないかをチェックしていく必要があります。
理想としては全員がこの意識を共有して行うことが求められますが、時間もないしリソースも足りない中で、ずれてきてしまう事は仕方がない部分でもあります。
なので、やはりこうした事態を避ける役割として、CDやブランドディレクターなどが必要になってくると思っています。
birdではこうしたズレを起こさないことを実は創業時からかなり意識しており、そのために、僕がImage Directorという職能として存在しているといっても過言ではありません。
以上のようなフローを経て、ブランディングムービーは完成します。
どうやってアイデアを実行していくのかは、個別のいろんなテクニックがあるのでここでは触れませんが、弊社メンバーが色々とその辺のテクニック的なことはブログに書いてくれたり、Youtubeで話してくれたりしてるので、ぜひまた読んだり見たりしていただけると幸いです、、!
https://www.youtube.com/c/birdandinsect
さて、このように苦労して作り上げたブランディングムービー。
実は、1本だけで全てを伝え切ることはなかなか難しい、、というのが現実
だったりします。
チラッと先ほども触れましたが、お客様に伝えたいことはブランドアイデンティティの中でも色々ありますし、伝えたいことをちゃんと伝えるためには何度も伝える必要があったりします。
特に今は、オンライン・オフラインを含めて様々なコミュニケーションの手段があるので、そこに合わせたコンテンツにしていくことも求められています。
お客様との接点ごとにどう認識してもらうか、それをちゃんと考える必要がブランディングムービーを作る時から求められているんですよね。
つまり、「Branding Movie = Brand Identity / Fantasy / Imageをまるっと伝えるための映像」なんですが、それは何も1本の動画だけで完結する話ではない、ということが最後の大事なポイントになってきます。
あらゆるコンテンツ全てを一貫して、ブランディングムービーとして作っていく。
そうすることで、カスタマーと接する全ての部分をブランディッドコンテンツにすることが可能になり、初めてブランドアイデンティティはまるっと伝わるのです。
これからのブランドは、ブランドの特別な「ストーリー」だけではもう成立しない時代になってきていると思っています。
ちょっと前までは、神話のようなストーリーを広めることでイメージを作り上げて、それでブランドを作ってきていました。
でも、今はそういうストーリーが飽和してきている時代。
その中で求めらているのは、過去のストーリーではなく、
未来に対するブランドの「スタンス」
それを明確にすることなんではないでしょうか。
言い換えれば、自分たちの大切にしている「価値」、それに共感してもらうことがブランドにおいては大事になってきているということです。
それを成し遂げるには、スタンスがぶれないことがとても大事。
だから、あらゆるコンテンツを、ブランディッドコンテンツにする必要があるんです。
birdでは、ブランディングを専門としたデザイナーさんやマーケター、そして多くのクリエイターの方々に協力していただくことで、微力ながら、お客様の共感を生むお手伝いをさせていただいます。
より良い世界を目指して、素晴らしいブランドアイデンティティを作り上げ、伝えていきましょう!
ブランドの目指すさ先に素晴らしい未来があると信じること。
そのスタンスを崩さなければ、必ずどんなビジネスも成功すると、僕らは信じています。