こんにちは、shuntaroです。久しぶりの投稿になります!
すでにお知らせしている通り、今年の6月22日に、マイナビ出版さんから『世界観が伝わる静物写真のつくりかた -被写体を魅力的に見せるプロップスタイリング実践講座-』という本を出版しました。

bird and insectとしては、玄光社さんの『みようみまねで自分らしい表現にたどりつく写真解体新書』に続く2冊目の書籍。今回は「プロップスタイリング」という、これまで日本でほとんど専門的に語られてこなかった領域に、チーム総出で挑んだ一冊です。
おかげさまで発売直後からとても評判が良く、発売3日後にはAmazonのカテゴリランキングで1位となり、目標としていた「ベストセラー」の表示までいただきました。本当にありがとうございます。
……と、こう書くと順風満帆に見えるのですが。。。
実はこの本、最初の打診から発売まで、まるっと2年かかっています。当初は10〜12ヶ月ほどで完成する想定でした。なんと、倍w
途中、完全に止まっていた時期が(少なくとも)2回ほどあり、タイトルを巡っての大バトルもあり、最後の1ヶ月は全社を挙げた地獄の追い込みがありと、、、振り返ってみると本当に色々なドラマがありましたね。いやー、本当に本を作るのって、大変!!
せっかくの機会なので、この2年間の紆余曲折を、当時のSlackやメールを掘り返しながら、時系列で書いてみようと思い、久々のジャーナル投稿をしてみた次第です!本を買ってくださった方も、これから本づくりの洗礼を受けるかもしれない方もw、ちょっと気楽に読んで楽しんでもらえたら嬉しいです。
言っておきますが、長いですよ!w
2024年6月:すべては一通の問い合わせメールから
始まりは、2024年6月25日。弊社サイトの問い合わせフォームに届いた、一通のメールでした。
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突然のご連絡で恐縮ですが、写真撮影(物撮り)におけるスタイリング術をまとめる書籍企画(現状の仮タイトル「物撮りがもっとうまくなるスタイリングの教科書」)を考えているところでして、ぜひ皆様に執筆をお願いしたいと考えて連絡致しました。
送り主は、マイナビ出版のTさん。この記事に何十回も登場することになる、本書の編集者さんです。
きっかけは前著『みようみまねで自分らしい表現にたどりつく写真解体新書』と、僕らのYouTubeの「ブツ撮りスタイリング基礎編【プロップスタイリング】」の動画を見てくださったことだったそうです。何がどうつながるかは、なかなか予測できないものですね〜。コンテンツは出し続けるものだなと、改めて思います(全然出してないけどw)。
「ライティングやカメラの設定の本はたくさんあるけど、いざ物撮りをすると『小物をどう選べばいいかわからない』『どう頑張っても被写体が魅力的に映らない』と困る人が多いのでは」というTさんの課題意識は、僕らが日々プロップスタイリングでやっていることを知ることで解決に向かうかもしれないし、プロップの専門書は少なくとも僕らが知る限り、ほとんど日本では見かけなかったので、「そういった語られてこなかったものを本にしたい」という話に、乗らない理由はありませんでした。
2024年7月:キックオフ。そして早速止まる・・
7月3日に早速Tさんと初回打ち合わせをして、その日のうちに社内Slackにプロジェクトチャンネルが立ち上がります。進行担当の屋敷さん(弊社 桜屋敷)の「一旦立ち上げます!!」というなんも考えてないけど、勢いは素晴らしい掛け声wとともに、bird全メンバー30人超が招待されました。
この時のスケジュール想定が「10ヶ月〜12ヶ月ぐらいでやりたい」というものでした。で、この素晴らしいオファーに盛り上がった直後、チャンネルがどうなったかというと。。。。約2ヶ月間、完全に無言になりましたw
うちの会社、夏から先が繁忙期なんですよね(今もまさにそう)。。
その渦に飲み込まれ、Tさんから7月末に届いていた企画書の改訂版も手つかずのまま9月へ。9月6日、僕の「これをそろそろ進めないとですね、、、!!」という、今読むと完全に夏休みの宿題をやってない小学生への諭すような発言で、ようやく再始動しました。
2024年秋〜2025年2月:構成づくりと「牛歩」の執筆
10月に構成をMilanoteという弊社愛用のWebアプリにようやくまとめ、Tさんと構成打ち合わせへ。このときTさんからもらった言葉が、その後の僕らの、心の支えになりました。
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この内容なら、きっと長く愛される一冊になりそうです;;
この「;;」、という顔文字もいいですよね。Tさんのメールはいつも丁寧で熱くて、絵文字と顔文字に人柄が滲んでいました。
そこからまず、1章の僕の執筆パートが始まったんですが、、、これがまあ、進まない。
2024年12月の僕は、Slackにこう書いています。
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多分あと15時間くらいあれば全部できるのでは?くらいには思っています。3時間ずつで5日間。1hずつなら、15日間。8h集中力が続くなら2日w
(※もちろん、できませんでした)
年明け1月には「牛歩ではありますが、少しずつ進めて」と書いていて、我ながら正直ですw それでも1月末には1章の原稿がざっくり完成。読んでくれた屋敷さんの「ここまでプロップについて書いてある本はないので新鮮ですね!」という感想と、マイナビさんからの「根本を覆すような問題はない」というお墨付きで、ようやく手応えが出てきました。
2月には、章ごとの執筆を、プロップチームを率いる瑠璃ちゃんからプロップチームのみんなに割り振ってもらい、チーム執筆体制へ。普段からプロップの制作やスタイリングを手がけるメンバー全員が、それぞれ担当パートに責任を持って書く、という方式にしたんですが(僕も1章でちょっと懲りたんでw)、これが後々、良さにも大変さにも繋がっていくことに、、。
2025年4月〜8月:撮影ラッシュ、デザイナー決定、そしてタイトル迷宮入り
2025年春からは作例撮影のラッシュが訪れました。とにかく、得意の撮影を先に終わらせて、なんとか進めていこう!という、なかなか進まない執筆の中での、屋敷さんによる苦肉の策です(屋敷さんが進行役を買ってくれていました)。
事前にプロップチームでアイデアなどをまとめてもらい、僕などもチェックを行いつつも、4月10-12日の3日間、スタジオで3章の大型撮影を敢行。プロップチームがそれぞれ担当カテゴリ(化粧品、時計、ジュエリー、服、フード、照明、フラワーベース、ステーショナリー)の世界観を組み、撮影する。それを延々と繰り返しましたが、その3日で終わることは当然なく、6月にも追加撮影、7月21-22日には1〜2章用の物量のある撮影を計90カット、7月25日には表紙用ビジュアルの撮影を僕と瑠璃ちゃんでやり切りました。

8月には、ブックデザインをsoda designさんが引き受けてくださることが決定!屋敷さんの「@channel 本書のデザイン soda designさんが引き受けてくれました〜!!」という投稿がされて、表紙のデザインが大事だと思っていたので、かなり安堵したのを覚えています。
一方、この頃、初めて本格的に議論されたのがタイトルでした。ネーミング担当のコピーライターである杉浦くんが7案をまずは提出してくれます。「プロップスタイリング、言語化。」「余白を、彩る。」「物撮りは、ほぼ背景づくりだ。」等々の力作が並んでおり、とても素敵だったのですが、僕としては本のタイトルはもう少し堅いものを想定していたので、「今ちょっとコピーっぽい気がしておりまして…すみません、難しくて、、、、!!」とコメントを返させてもらい、、、、、、タイトル議論はここから約8ヶ月間、静かに凍結されましたw
2025年9月〜12月:二度目の停滞
そしてやって来ました。二度目の停滞期です。
秋以降、夏から始まる弊社の繁忙期がクライマックスを迎え、さらにちょうどこの時期にヒートアップしていたstudio behind(リンク、写真?)立ち上げに全員が飲み込まれ、出版チャンネルの投稿間隔がどんどん空いていきます。この時期の屋敷さんの投稿を並べるだけでも、状況が伝わると思いますので、こちら。
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10月15日までに完成させてほしいのですが可能でしょうか。どうしても難しい場合はご自身で期限を決めてお知らせください🙏(9月29日)
すみません、「実は今暇or時間あるよ」という方いらっしゃいますか・・・?(12月17日)
〇〇さん・・・・3章書いてないね・・・・・?今気づいた・・・・(12月19日)
最後のは、屋敷さん自身も忙しくて、気づいていなかったというw
まあでも、文章を書くとか、ましてや本を作るというのは、それ自体が非常に慣れも含めて、スキルが必要なことですよね。写真やプロップのプロだからといって、誰もがその知識をブレイクダウンして、スラスラ文章にできるわけではないわけで、、、。締切のある案件と締切の遠い執筆が並んだら、大抵の人は案件をするわけなので、この辺りは、僕の設計も悪かったな〜と正直終わってみて思っています。
そんな中でもマイナビのTさんは、急かすでも呆れるでもなく、辛抱強く待ち続けてくれていました。これには本当に、大感謝です。ありがとうございます。。。。
2026年1月〜3月:デッドデッドデッドライン
年が明けて2026年1月、マイナビさんから最終スケジュールが提示されます。
2月中に1章完成、3月中に2章、4月中に3章。屋敷さんが、
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スケジュール、具体的に出してみました!デッドデッドデッドラインみたいなものです!笑
こちらすみませんが必ず守りたく、よろしくお願いいたします🙇
3回死んでるデッドラインを引いてくれました。
3月末には「もう5/20くらいの校了で確定しており、これはズラせない」というのが確定し(出版スケジュールが確定した、ということ)、後戻り不能の必達目標に。このあたりから、僕も観念して腹を括ります(遅すぎる)。
僕がこれ全部巻き取るの無理そうです、、、せっかくなので、恥ずかしくなく良いものにして出したいと思うので、、、、よろしくお願いいたします!!
そう、せっかくならいいものにしたいですからね〜。ようやくここから、圧倒的本腰です。発売までの3ヶ月は、本当にチーム全員の総力戦でした。
2026年4月:タイトル大転倒事件
そして起きた、この制作最大の山。タイトル戦争です。
8ヶ月凍結されていたタイトル議論を、杉浦くんが「一応ここに去年の8月から止まっているタイトルネーミングの話があるので、この続きからという感じで・・」と掘り起こし、改めて作ってくれた候補を5案に絞り全社スタンプ投票まで実施、Tさんにも確認して、、、と、良い感じに進んでいたのですが……。
4月22日、Tさん経由でマイナビさんの販売部門から衝撃の一報が届きます。「プロップスタイリング」がメインのタイトルだと書店さんに本の内容が伝わりにくく注文につながりにくい可能性があるため、『物撮りがもっとうまくなるプロの撮影術』のようなキャッチーな方向で、と。。
当時の僕のSlackがこちらです。
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なんと、ここにきてタイトル案が大きく方向転換することに、、、;;
僕としては、この本の内容とは少し違う見え方になる気がして、「このタイトルだったら出版するのは難しいかもしれないです」と、率直にお伝えしました。
大人げないですね〜。。。でも、ここは譲れないポイントでもありました。この本は「撮影術」の本ではなく、被写体の周りの世界を「つくる」本、ということで初期から一緒に進めてきたことだったからです。この軸をぶらしてしまうと、本の中身そのものとタイトルがズレてしまうので、僕らにとっては大きな問題でした。
翌日、Tさんと緊急ミーティング。杉浦くんの意見がとても的を射ていて、非常に最高でしたw
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出版業界的に、売れる・売れないネーミングがあるのは分かるのですが、「この本を読む方々ならきっと分かってくれるはず・・・」という部分だけは、ちょっと駄々をこねさせてもらいましたw
Tさんも社内で粘り強く調整してくださり(大感謝!!)、数日後に「メイン:世界観が伝わる静物写真の撮り方」という折衷案をいただき、それに対して「今回は撮り方の本だと思っていないので…例えば『つくりかた』とかなら良いかなと思っています」と三文字での攻防もありつつ——
『世界観が伝わる静物写真のつくりかた』というタイトルに無事落ち着きました!
この三文字の攻防にも、本の本質が全部詰まっているんじゃないかな、と思っています。書店流通の現実と作り手のこだわりの間で板挟みになりながら、最後まで着地点を探してくれたTさんには感謝しかありません。

社内投票の様子🗳️
2026年5月:地獄の追い込み
5月20日校了から逆算すると、もうここからはすべてが差し迫った状況。この1ヶ月のトピックを箇条書きにしてみると、、、、
- 追加撮影が4月から計5回以上!w 段取り担当となった阿部くんの「マイナビ、3回目の最後の撮影を設定しました!笑 …本当の最後です!笑」という投稿。どんだけやんねん、ってみんな思っていたと思いますw(このあとしっかり、本当の本当の最後の撮影が別途ありました)
- 掲載カットの権利確認が佳境に。ブランドロゴが写り込んだカットを洗い出す、通称「ブランド名警察」が発足。「ごめん!一応、今、ブランド名警察をしており、1章で見つけましたので、レタッチをお願いしたいです!」などの阿部くんの投稿がなりやみません。
- 「はじめに」に載せる予定だった実績紹介ページが、肖像権・契約の観点で発売1ヶ月前に白紙に。緊急ミーティングで構成から作り直し。さらに、載せようと思っていた案件の掲載許可が直前で取れず、深夜に代替カットへ差し替えたり。。
- 表紙デザインは、タイトル戦争の兼ね合いもあって、スケジュールがすっごくギリギリになってしまい。。。上がってきた案のすり合わせを丁寧にする時間もなく、僕と瑠璃ちゃんで仮デザインを提示するという、最もやりたくない方法ではありましたが、どうしても間に合わず、力技を発動したり(sodaさん、本当にすみません。。)
- GWも土日も返上で念校チェックの嵐。屋敷さんが「泣いても笑っても5/31までのチェックが最後になりますので、どうかどうかチェックのスタンバイをしていていただけると幸いです!!🙏🙏🙏」と送ったりしてました。
- そして段々と念校が佳境となってきて、皆の疲弊がピークになってきた時には屋敷さんから「みなさま!念校に対して新しい修正を依頼するときはコメントも丁寧にしましょう」というお叱りも。。
終盤は毎週チームで集まって内容整理と進捗確認をする体制にして、毎日のように、僕を筆頭に各所から新しい修正が湧いてくる中、Tさんも全てをチェックし返してくれて、レタッチチームもスピード勝負で画像修正にも喰らいついてくれました。
5月31日、深夜までの最終チェックを経て、全データ送付完了。屋敷さんの「これにて本案件のチェックは基本全て終了いたしました!!」という投稿には、🙏が並びました!
2026年6月22日:発売。そして——
6月10日、見本誌が完成。6月22日、ついに発売日を迎えました。
発売日にTさんからもらったメールに、こんな一文がありました。
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Amazonのカテゴリ別ランキングで24時間1位の状態が続くと、商品ページに「ベストセラー」のような文言が数日間表示されます。本書をたくさんの方に知っていただくために、まずはカテゴリ別1位を目指したいですね;;!
その3日後の6月25日、深夜2時39分のSlack。
ベストセラー1位に!!!
しかも翌日には、なんとマーケティング関連の本のランキングでも1位に。写真の本なのに、これは本当に嬉しかったです。「被写体をどう魅力的に見せるか」という内容が、写真を仕事にする人以外にも届いたのだと感じました。

反響は数字だけではありませんでした。
本を読んでいただいた皆様からの嬉しいメッセージやお言葉を、インスタやメール、または直接あった時などにもたくさんいただきました。また、本の中で紹介させていただいたプロップレンタルのお店の方から「社内でも『撮影についてここまで言語化されている本はない!』と絶賛です。現在、弊社の受付カウンターにも飾らせていただいており」という嬉しすぎるメッセージ。他にも、メルマガとWebで本を紹介してくださったりも!Amazonレビューにも「プロップに関する専門の本をずっと待っていました!本当にありがとうございます。」の一言をいただき、本当に嬉しいです。この一言のために作ったような本なので、ずっと待っていてくれた方に届いて、本当にやってよかったです。
おわりに
この本は、僕らが知る限り、日本ではまだほとんど例のなかった、プロップスタイリングを体系的にまとめた一冊です。これまで感覚でしか語られてこなかった「なんかいい」の正体を、チーム全員でひとつひとつ言語化した2年間でした。
正直、工程としては一冊目よりもしんどかったかもしれませんw「もう形にならないのでは」と思った時期もありました。それでも最後まで走り切れたのは、
2年間、僕らの牛歩を辛抱強く待ち続け、社内との板挟みの中で最後まで良い本にすることを諦めなかったマイナビ出版のTさん。
執筆、撮影、プロップ、レタッチ、進行、権利確認、ブランド名警察まで、それぞれの持ち場で走り切ってくれたbirdのみんな。
素敵なデザインに仕上げてくださったsoda designさん、イラストのkinueさん、DTP・印刷所の皆さん。
そして、発売と同時に手に取ってくださり、1位まで押し上げてくださった読者の皆さん。
のおかげです!本当にありがとうございました、、!!
物撮りをする全ての人、「なんかいい」写真の正体を知りたい全ての人に、自信を持っておすすめできる一冊になりました。まだの方は、ぜひ書店やAmazonで手に取ってみてください。


<書籍情報>
『世界観が伝わる静物写真のつくりかた –被写体を魅力的に見せるプロップスタイリング実践講座。- 』
著作者名 : bird and insect
B5変 : 208ページ
ISBN : 978-4-8399-87848
書籍 : 2,992円(税込)
電子版 : 2,992円(税込)
発売日 : 2026年06月22日Amazon : https://www.amazon.co.jp/dp/483998784X
マイナビBOOKS : https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=150845
