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【映像とお金の話 3.0 -映像はなぜそんなにお金がかかるのか-】

Tomonao Sakurayashiki

こんにちは。bird and insectでディレクターをしております桜屋敷です。

今回は「映像とお金の話 3.0」を書きたいと思っております。
映像をつくることにおいて、どんなことをしたらお金がかかるのか?どこを抑えればお金がかからないのか、
ということに着目していきます。

「こういう映像がつくりたい」と思っても、実際に制作会社に見積もりをお願いすると、
自分たちが思っていた想像以上の金額を提示されてしまい、瞬時に制作を諦めた、というお話もたまに聞くことがあります。

昨今、映像におけるビジュアルプロモーションは増え続け、その勢いはこれからもさらに増していくのは確実です。

そんな時代において、「どんな映像にお金がかかるのか・抑えられるのか」を大まかにでも知っておくと、
会社の予算に合わせた企画つくりも考えやすいですし、制作会社への相談もスムーズに行えるようになるかと思います。

映像の構成について

まず、映像を完成させるにあたり、何が必要なのかを考えてみることからはじめます。

ここで重要なのは【映像を構成する要素=お金がかかる要素】と言うことです。

基本的に構成する要素が多ければ多いほどお金がかかり少なければお金がかからないということになります。
それでは、映像はどんなことで構成されているか洗い出していきます。

今回はこの有名な早稲田アカデミーの映像を参考にします。
(弊社制作ではありません)

 

【映像を構成する要素】

①ロケーション・・・
撮影する場所。スタジオや屋外ロケーションなど。数が多ければその分お金がかかる。
参考映像例)ハウススタジオ、公園、野球場、神社、学校

②モデル・・・
撮影に映ってもらう人。数が多ければその分お金がかかる。
また認知が高ければ高いほど金額も高くなります。
参考映像例)主人公の子供、お母さん、お姉ちゃん、野球場の保護者、子供の友達

③機材・・・
参考映像には機材が映らないので、例として)
カメラやライトなど一般的な機材、そして大規模な撮影になると、クレーンや(カメラを下から高くあげたりする)や
レール(カメラをブラさずに自転車や走る人を長い間追いかけたりできる)が使用されます。

 

④美術・・・
ペルソナに基づいた部屋や環境をつくります。撮影の規模が大きければ大きいほどお金がかかります。
参考映像例)家の中に配置してあるもの全て、美術さんが準備したものと思ってよいです。(笑)
(下記丸をつけたもの全て。)

*以前ハウススタジオで働いていた時があるのですが、ハウススタジオって、冷蔵庫にも本棚にも、とにかく全ての場所において家具以外に何も置いていないのが基本です。そこを、美術さんが映像のために様々なものを用意し、世界観を作り上げるのです。

⑤音声・・・
映像内容にセリフがある場合は、音声機材・録音スタッフさんが必要です。
参考映像例)登場人物のセリフ

⑥ナレーション・・・
セリフとは別に、映像にメッセージを入れたい場合はナレーション費用、ナレーション録音費がかかります。
参考映像例)お母さんの心の声。

⑦音楽・・・
映像に音楽を付ける場合も費用がかかります。
主に、オリジナルを制作する場合と、著作権フリーの音楽を購入する場合があります。
オリジナル楽曲 > 著作権フリー楽曲(金銭感)
参考映像例)映像に使用されている音楽

⑧CGグラフィック(特殊効果費)・・・
映像に、撮影した素材以外にCGやグラフィック、アニメーションを入れたい場合、お金がかかります。
参考映像例)1:21秒あたりの月(実は、CGです)1:29秒あたりの星空もCGだと思います。
もしかしたら、この記事を読んだ参考動画のCG担当者の方が見たら、「いや、これもあれもだし」
っていう意外なところでも使用されているのがCGです。

⑨ヘアメイク・・・
人がしっかり映る撮影では、モデルさんではなくてもヘアメイクさんは必要です。
ただ、ここを削るクライアント様も多いのが現状です。
映像に合うメイクや髪型を作ってくれ、メイクやセットを撮影中に適宜きれいに整えてくれます。
見る人にとっては、メイクや髪の毛の乱れが気になって映像をしっかり受け取れなかったり、
信頼性を損なうことも稀にあります。
映像参考例)登場人物全員のヘアメイクセット

⑩スタイリスト・・・
人がしっかり映る撮影において、映像のトーンに合わせた服装をプロの視点から選んでスタイリングしてくれます。
本人の私物・・・というのが、実は一番怖いんです・・・・
映像のトーンやコンセプト、登場人物の設定・年齢に沿ってパターンをつくり衣装提案をしてくれます。
映像参考例)登場人物全員の服装

その他・・・
撮影当日の交通費(宿泊費)レンタカー費、キャスト、スタッフのお弁当や飲み物などがかかります。

いかがでしょうか。

実はこんなにあります。

もっと細かいことをあげるとまだまだあるのですが、規模の大小などはありますが、これが基本的な構成かなと思います。
先述したとおり、多ければ多いほどお金がかかり、少なければ少ないほど抑えらます。

 

制作スタッフの労働時間について

次に、上の映像を構成する要素+忘れてはいけないのが、映像制作スタッフの労働時間のお話です。
上記の構成は、主に撮影当日に関わることが多かったのに対して、制作スタッフはその前の「準備」があります。
実は、この「準備」に一番時間がかかり、そして撮影においてもっとも重要なことなのです。

なぜなら、準備がないと撮影ができないからです。

そして、お気づきでしょうか。本当に恐縮ながら極論をお伝えすると、
先述した「映像の構成要素」は僕たちには一銭も入ってきません。ということがわかります。
ロケーションもモデルもスタジオも、全て外注費なのです。

ここでは、映像制作に対して、僕たちが具体的にどんなことで労働時間が生まれているのかを記載します。
(参考映像の制作スタッフも、同じことをしていると思います。)

【映像制作スタッフの労働時間】

①打ち合わせや連絡関連・・・
ミーティングや、企画プレゼン、映像チェックなどの打ち合わせ。
そして、初回の打ち合わせから納品までの連絡関連が発生します。
例)みなさんは、1つのプロジェクトでお客様と連絡し合う時間はどれぐらいあるでしょうか。
映像制作者も、映像をつくっているだけではなく、同じぐらいの時間をやりとりしています。


②ディレクション(アイディア料)・・・
映像をつくるためのコンセプトやトーン、伝えたいメッセージや目的、視聴者への印象、効果などを考え抜く仕事です。
例)過去の映像から、あるいは広告、あるいはアート、本、記事、WEB、様々なところからインスピレーションを得て、
今回作り出す企画を掛け算してオリジナルをつくっていきます。
多い時だと、参考映像を100本見ることもありますし、pinterestやWEBで、自分の求めているテイストの写真や広告を
ひたすら探し続けることもあります。
ディレクションは、0から1をつくり、そしてそこからは1本の太い軸となり、様々なところで監修していきます。


③企画書つくり・・・

映像の構成を決めた理由を示す企画書をつくります。
例)②から導き出した企画意図、企画概要、字コンテ、絵コンテ、備考、参考映像等を記載します。
ただ上記を記載すればいいのではなく、伝わりやすさ、説得力があるテキストや、資料としてのデザインの面にも気を配りつくっています。


④コンテ・・・
ミーティングで目指すべき映像の方向性が見つかったら、
そのアイディアをクライアントさんがイメージできるコンテに変えていきます。
コンテが、実は意外と時間がかかる作業で、2分の映像のコンテを描こうと思ったら、
内容にもよりますが、約3〜6時間かかります。
また、「この内容で決定!」というところまで、2稿、3稿、決定稿へと続いていきます。
もちろんここでもディレクションに基づいたコンテ作成をします。
例)
絵コンテ・・・文字通り絵を書いたり、既存映像をキャプチャーしたもので構成をつくります。
ビデオコンテ・・・フリーの映像素材を使用し、仮の素材で映像をつくります。
(ビデオコンテは大手制作会社に多いです。)


⑤ロケ地手配・・・
ディレクションに基づき、映像の世界観に準じたロケ地を選んでいきます。
例)都会なのか、自然なのか、スタジオなのか、はたまた廃墟なのか。
ディレクションに基づいた世界観のスタジオを調べ尽くして手配をします。
営業マンが1日に電話をかけるぐらい、かけ続けることもあります。
また、場合によっては警察署に使用許可を申請する必要がある場合もあります。


⑥キャスト(モデル)手配・・・
ディレクションに基づき、映像の世界観に準じたキャスト(モデル)を選んでいきます。
例)こちらもたくさんの事務所さんに連絡をしたり、InstagramやTwitterで探すこともあります。
また必要ならば、オーディションを開催することもあり、会場の準備やキャスト資料の準備、当日のアサイン業務などがあります。


⑦撮影時間・・・

撮影における拘束時間が、長ければ長いほど、お金がかかります。
1日で終わる撮影もあれば、2日、3日要する撮影もあります。ほとんどの場合、ロケーションの数で撮影日数が決まります。
また、ロケーションが1つでも、タイムラプス撮影が必要な場合などは、1カットに対して数時間かかる撮影方法なので、
時間がかかります。
例)日の入りから日の出までを数カ所撮影して映像を構成してほしい。
また映像のトーンによって、カットを数多く撮影する構成の場合は、その分時間も多くかかります。


⑧編集時間・・・

編集時間でもっとも影響のある要素は「映像の尺」と「本数」です。
尺が1分と、尺が10分の場合の編集時間は雲泥の差になります。
ちなみに弊社の制作映像平均尺は1:30秒ぐらいです。
例)1つの製品に機能が3つあるので、それぞれの機能分3本の納品をお願いします。
映像に10人分のインタビューを入れたいので、5分の映像を作ってください。など。

 

見積もりについて

制作会社の見積もりのお話しをします。
ただ、このことを、どうしてもわかってほしいのです。。
ここが「3.0」の部分だと思ってください。

先述した「映像を構成する要素」と【映像制作スタッフの労働時間】の掛け合わせで、
映像をつくる金額=見積もりが出来上がります。

さらに細かく見積もりの方程式をつくってみると・・・・

見積もり=α×必要な工程×かかる労働時間+外注費+経費
このαが、制作会社の儲けになります。
そしてαとは制作会社が生み出した「価値です」です。

この価値は、ディレクションだけではありません。
映像自体のアイデアやクリエイティブのトーン作りなどはもちろんですが、
どうすればクライアントの方の映像が多くの人に届くか、どうしたら見てもらえるか、どうやったらより良くなるか、
そう言ったことを日頃から考えて思考や技術として蓄積し、それを発揮して「価値」を生み出す、そこに対する「対価」です。
なので、ここの部分は単に儲けの話ではなく、なぜその会社に頼むのか、ということ、
良いクリエイティブの会社ほどなぜ料金が高いのか、ということに直結した話です。

αこそが「クリエイティブ」の部分であり、ここに対価を払わないと結局は、「価値」は生み出せません。

このαは非常に大切で、これによる対価(お支払い)がないと他のスタッフを雇って会社を運用したり、成長させたりすることができなくなってしまいます。

ですが、このお金は一番目に映らず、わかりにくい項目であることが事実です。
たまに、お見積もりを提出して、「ディレクション費(aの一部分)をなくせませんか・・・?」というご相談がありますが、
それが厳しいお言葉なのです。
一般的にちゃんとした制作会社ほど、見積もりが高くなる傾向があります。

当然フリーランスの方は、αが限りなく小さくしやすいので安くなる方もいらっしゃいますが、その分何かあった場合の代用が効かなかったり(病気やトラブルが起きてしまった場合など)安心感は制作会社ほどではないことがあります。

フリーランスでもαが大きい方は、自身に強いブランド力があったり、
その方が制作したことによる広告効果が強い場合などが理由としてあげられます。

 

最後に、bird and insectについて

これまで、映像にかかるお金について、ざっくばらんとお話しさせていただきました。
おそらく「お金かかりすぎだよ!」って思った方も多いと思います。

それでも、僕たちは本当に様々なクライアント様とお仕事をしてきました。
それは、予算がないからできないではなく、理想の映像を一緒につくるためにいろんなことを考えて実現してきたからです。

スタジオを借りる予算がなければ、スタッフやクライアント様のお家は使えないか?
主演のキャストさん以外は、クライアント樣、友人から探せないか?
この映像内容だったら音声は自分たちでできるのではないのか?
スタッフにファッション業界出身の人間がいるぞ?
・・・etc

弊社は先ほどのαを無闇に下げずに、こういった手配や提案をすることにより、
他の要素で金額を抑えても、つくりたい映像に対して、クオリティが変わらない作品をつくることができます。

大手の制作会社だと、スタジオを借りるのが当たり前だったり、大きなカメラを使用するのが当たり前で予算が膨らんだりしますが、僕たちbird and insectは、クライアントの皆様に寄り添ってクリエイティブをつくっていくカンパニーです。

その他にも、今まで制作で培ってきたノウハウも細かいところで沢山持っています。
ぜひ、小さなことでもご相談いただけると嬉しいです。

世の中に、企業として存在する限り、私たちは会社を大きくしていきたいです。
理由は、自分たちの映像・写真、そしてクリエイティブを使って、もっと多くの人たちや企業様の認知を広めたいからです。
自分たちが最高のものを提供する。
そして、その制作物を使用した方達も社会的な効果があり幸せになる。
これ、完全に綺麗事なのですが、これが本当に僕たちの求めていることなのです。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

みなさまとお仕事をご一緒できる日を楽しみにしております。

 

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