今回は、僕がフォトグラファーとして10年以上活動してきて、なぜもっと早くやらなかったのか!と思ったことを7つ、書いてみました。
どれも、本当に自分にとっては、効果があったことだし、もっと早くやっておくべきだったと後悔していることですw
是非是非どれか一つでも、実践してみてください。
1. Capture Oneを使う/テザーでの撮影
多くの写真好きの方、プロの方はRAWで撮影する方々が多いと思うのですが、
それを現像するRAW現像ソフト、皆さんは何を使ってらっしゃいますか?
僕は大学生の頃は出たばかりのLightroomを使っていたのですが、どうしても色作りが思ったようにできず、
Photoshop(PS)のRAW現像を長く使っていました。
プロとして活動し出してからもしばらくはそれで通していたんですが、ある時、スタジオなどの撮影では、
Capture Oneというソフトを使う人が多いと聞いて、実際見せてもらった時、衝撃を受けました。
それからずっとCapture Oneを使っています。
Capture Oneはフェーズワンという中判センサーのカメラを作っている会社が出しているソフトで、
付属ソフトでありながら、ソフト単体でもすごく広く使われているプロ用の現像ソフトです。
もちろん、CanonやNikon、その他のカメラでも使用可能です。
で、このソフト、何が衝撃だったのかというと、
1. テザー撮影の時に撮影して取り込まれたらすぐに、自分でやった現像が適用されていく。
2. 色がとにかく繊細。プロ用なので、大雑把な作りじゃなく、カラーホイールもあるし、レイヤーも作れる。
3. 細かいところに届く操作性。キーボードで1ずつ値を変えられたり、パースの補正が細かくできたり。
などなど。。
それまで、テザーは純正で、現像はPSで、、、みたいな形でいちいちやっていたのが本当に馬鹿らしくなったし、
色もこんなにソフト上で出来るんだ!と感動を覚えました。
ちなみに、テザーというのは、ケーブルでカメラとパソコンを繋いで、撮影したらすぐにパソコンに転送して、
そちらでデータを保存したり、写真の確認をしたり出来るようにする撮影方法(及び、そのツール)のことです。
・・・パソコンとカメラが繋がっていますよね。写真が懐かしい、、、
当時、Lightroomでもギリギリテザー出来たんですが、転送速度・表示速度は遅いし、現像の設定が自動で当たらないので、
RAWのぬるーい絵のままクライアントの人に見せなくちゃいけないなど、フォトグラファーとしてストレスの溜まる状況でした。
今は、Lightroomの改善により速度も早くなってるし、現像設定も自動で当たるので、そこの差は小さくなったかもしれないですが、それでもCapture Oneの方が安定性などでは軍配が上がるようです。(この辺は又聞きです)
今でもプロの人は当たり前にCapture One使ってる人が多いですが、アマチュアの人はLightroomとかが多いですよね。
色作りなども特定の色だけ変えたりが簡単にCapture Oneでは出来ますし、何より書き出しの時の色作りが
とても大人っぽいので、ぜひ一度試して見て欲しいと思います。
サブスクリプションなら月に3000円で使えるので、特にプロの方で導入していない方は、この機会にぜひ!↓
それと、これは結構プロ向けの話なんですが、、、、テザーでの撮影って面倒ですが、クライアントサイドからしたらフィニッシュのイメージがつきやすいし、大きい画面で確認しやすいし、、、と良いことづくめなんですよね。
だから、出来る限りテザーで撮影をするだけでも、結構信頼度、変わると思います。
特に業界の人じゃない方だと、撮影したものがすぐにみれて、しかもそれがほぼほぼフィニッシュの状態で確認できるってことに感動してくれますよ!
僕の場合は、パソコンはジッツオの三脚にパソコン台をつけて運用しています。外の場合は、サンシェードも。
ただ、ちょっと倒れやすい装備なので、強風の時にサンシェードつけるなどしたら、ウェイトなどをつけるか、
誰かに見ていてもらった方が良いとは思います。
2. 中判デジタルカメラを使う
今の世の中、35mmフルサイズのカメラでも、もっと言えばミラーレスのカメラでも充分すぎる解像度と描写力があります。
これはもうみんな思っていることだと思うのですが、それでも僕は中判のデジタルカメラを買って使うことには意味があると思います。
これには、いくつかの理由があります。
まずは、上で言ってることに矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、その描写力です。
上で言っている描写力は、「充分である」「これでも全く問題がない」というレベルの話です。
一方、中判デジタルカメラの描写力というのは、それを使う意味がある、というレベルので話なんです。
ボケの滑らかさ、色の深みなどもそうですし、それらを全て総合した上での写真としての「存在感」が35mmのカメラとは
全く違います。
・・・圧縮してしまっているので分かりにくいですが、奥行き感が全然違うんです。
これは、決して分かりやすい大きな差じゃないんです。なので、アマチュアの人に買う意味があるかは分かりません。
しかし、プロのフォトグラファーとして、より上のレベルの表現を目指した時に、選択肢としてここを入れないておかないと、
それはどうしても片手落ちになってしまいます。
写真が機械を通しての表現である以上、「このカメラでしか出来ない表現」というのがどうしても存在します。
だからあえてのフィルム、あえてのトイカメラなども全然ありなわけですよね。
なので、職業としてのフォトグラファーである以上、中判デジタルカメラの特性と能力を知った上で、
どのカメラを選択して表現を行うか、仕事を作り上げるかは思っている以上に大事だと思います。
中判には、Phase One、Hasselblad、フジ、ペンタックス、Leicaなどの選択肢が現在あります。
どれを使っても良いんですが、ある種最高峰という意味では、Phase Oneを無理して買うというのも良いかもしれません。
個人的には、実は色味はハッセルが好きなんです。独特のバタ臭い色はハッセル特有だと感じています。
この辺も使ってみると実感として分かりますし、結構その機種じゃないとでない色があるんですよね〜。
それと、どうせなら中判フルサイズをお勧めします。それよりも小さいセンサーだと、35との差を感じにくくなっちゃうと思います。
僕は無理してフリーの時期の最後にPhase Oneを買って、本当に仕事増えました。
良いカメラを所有していることは、自分の意識を上げますし、大きな仕事でもびびらなくなる、
などの良い副作用もありました。
今は、そこそこの値段の中判もありますし、少し前の型なら安く売っていたりします。
なので、できれば購入をして、そしてそれが難しいならたまにレンタルをするなどしてでも使って
自分で撮影をして、写真という表現の幅を確かめておくべきだと思います。
ちなみに、僕は星野さんという一緒にシェアオフィス をしているフォトグラファーと共同購入しました。
こういうシェアの形もある意味ありだと思うので、ぜひ検討してみてください。
3. 自分から提案をする
どうしてもフォトグラファーは請負の仕事の形式になっちゃいますよね。
これはある種みんな諦めているところが多いと思っていますし、
言われたことをきちっと撮れるのが「カメラマン」だと、依頼する側もされる側も認識していたりします。
それは間違ってないと思うのですが、実際のところ、仕事においてクライアントやデザイナー、その他の人々は、
本当はみんなフォトグラファーからの提案を欲していると思っています。
最初から良い環境に飛び込んでいた人(広告の最前線の師匠についていたり)にとっては、
それは当たり前だと思うかもしれません。
ですが、僕のように本当に1日撮影して数千円の世界から始めていると、誰も提案なんて求めてなくて、
機械の代わりをするような仕事だったりするので、そんなこと思いもしなかったりします。
僕が、自分からの提案が出来ないといけない、むしろそれをみんな求めていると気づいたのは、
映像を始めたことがきっかけだったと思います。
映像では当たり前のように企画を出しますし、撮影者も意見をどんどん出していきます。
そして、プロフェッショナルとして、それをみんなが聞いてくれます。
写真の分野でも、写真におけるプロフェッショナルであるなら、より良いものを作り上げるために意見をするのは当然ですし、
もっと最初の段階から提案をすべきだと思っています。
今後は、むしろ、これが出来ないと生き残っていけないでしょう。
少し写真が撮れる人なんて、プロじゃなくてたくさんいますし、なんならある特定の見せ方においては、
プロを凌駕するレベルの人はすでに大勢います。
そことの差別化に、間違っても「なんでも撮れる」を持ってきてはいけません。
そうじゃなく、どんなことでもプロとして提案できる、というスタンスを見せなければいけないのです。
その上でもちろん、自分の個性も必要になります。
提案というのはしたことがない人には難しいと思います。
しかし、世の中にはたくさんの企画についての本などがあります。
それを読んで勉強しましょう。
同時に、デザインやマーケティングなど、写真を使う先についての知識ももちろん必要です。
僕自身、提案型にしてから来る仕事の感じが変わった気がしてます。
そして何より、関わる人々に喜ばれる仕事ができるようになったと感じています。
正直、もっと早くからやるべきことだったと思っています。
4. 自分だけのアーカイブを作る
これに関しては、ずーっとやり続ける必要はないかもしれません。
ある一定のインプットがある人の場合は、影響を受けないで自分の頭で考えるために、
その先のインプットを制限する人が少なからずいるからです(フランク・O・ゲーリーとかね。建築だけど)
でも、それは相当なインプットをこなした後の話なので、このブログを読んでくれる人の大半は、
一定の期間、自分なりの「スクラップブック」を作る活動はすべきだと思います。
何が好きなのか、どういう写真を撮りたいのかが、目に見える形で明確になりますし、
そうすることで、客観的に自分自身の目指す方向性や個性のあり方を考え・感じることができます。
また、迷った時に立ち返る場所にもなります。
多くの人が没個性の作品を作ってしまったり、全然依頼がなかったり、どういう作品を作ったら良いのか分からないのは、
単にインプット不足です!!
これは、今までたくさんの若手を見てきて、間違いなく言えることです。
自分自身もまだまだ、インプットが足りないと思っています。
ただ、ある一定以上の写真のインプットはしてきているので、僕の場合は写真以外の分野のインプットも積極的にしています。
慣れてきたら写真以外の分野のスクラップもすべきだと思っています。
どうしても同じ分野からの影響を受けすぎちゃうからです。
ここは難しいんですが、最初のうちはそんなの気にせずインプットした方が良い。
でも、ある一定量こなしたら、絶対に違う分野のインプットが効いてきます。
建築、音楽、文学、絵画、映像、なんでも良いです。
目安としては、好きな写真家、好きな作品を2-3ずつ挙げられて、それらがどんな繋がり(歴史)の中にあるかを
淀みなく話せるレベルなら、違う分野のインプットを優先して良いと思います。
インプットの方法はなんでも良いです。リアルなスクラップでも、オンラインのツールでも。
手軽さという意味では、おすすめはやはりPinterestですね。レベルの高い画像も多いですし。
他にも、インスタ/雑誌の定期購読/写真集の購入などは継続して行うと良いと思います。
僕もいまだに、雑誌や写真集の気に入った写真は付箋を挟んでおいて、アシスタントの子にスキャンしてもらって、
手元に置いています。
これも、もっと真剣に20代前半からやっていたら、もっと早く自分の表現にたどり着いていたと思うと、
悔しいです。。。
弊社久保山君が、社内のワークショップで集めた画像の話をしているので、これも参考にしてみてください。→
https://bird-and-insect.com/blog/6568/
5. チームで何人かで撮影する
フォトグラファーの多くは一人(+アシスタント)で撮影を行うのが一般的です。
一方で、birdみたいなチームだと、何人かで一緒に撮影することがあったりします。
これはチームになってからそういう機会が増えて感じたことですが、
こういう機会があると、自分の中での撮影の仕方の「当たり前」が壊れたりして、とても勉強になります。
例えば、冒頭のテザーみたいなことも、一人でやっていて、知っていたけど使ったことがなかった。
でもたまたま作品どりを一緒にしたフォトグラファーがやっていて、「あ、これいいな!」と思って取り入れました。
また、自分はレタッチャーからキャリアがスタートしてるので、初期の頃はレタッチャーとして、
自分が受けられないような仕事をしている人の現場に入ったことで、ライティングなどを実地で学ばせてもらったなと思っています。
なので、フリーランスの人も、写真作家の人も、たまに積極的に複数人で撮影する提案をしたり、
場合によっては自分は別の立場に立って撮影を他の人に任せたりすることが出来るなら、ぜひそうしてみてください。
思いもよらぬ発見が、幾つになってもありますよ。
これは、僕よりも業界歴が長く、フリーランスでずっとやってきていた弊社の本田さんなんかは、
当初、すごい感じていたんじゃないかな〜と思っています。
ちなみに、本田さんの作品はこんな感じで、birdにはあまりいなかった芸能人やファッションを撮ってきたフォトグラファー。
テスト撮影でも何でも良いので、ぜひ横の繋がりでも仲良くして、積極的に関わっていくことをお勧めします!
それでなくても、フォトグラファーって結構孤独なんでw
6. 歴史を勉強する
写真の歴史なんて、知らなくても撮影では全く困らない、、ということも多いですw
でも、多くの写真のアイデアが、過去のオマージュであったり、過去の技術を使ったりしていることを考えると、
やはり歴史を知っていることは大切。
例えば広告であれば、その広告写真を考えるデザイナーやディレクターは間違いなく様々な過去の写真などを参照した上で、
今回の写真をどうするか考えているはずです。
同様に、写真作家の人達も皆、自分はどういう写真の文脈の上で作品を作っているか知っています。(一部天才を除く)
一番分かりやすい効用は、自分たちの作ろうとしている写真表現はどこからきているのかが分かっていれば、
意図せずパクリになったり、何かと被ることが防げるということでしょう。
それ以外にも、自分の表現に迷った時、遠い昔の名作にその手助けになるアイデアを見つけたりすることは多いです。
まずは、簡単な本で良いので、概要を掴むのが良いかなと考えています!
ホンマタカシさんの『ホンマタカシの換骨奪胎』や『たのしい写真』とか、
大和田良さんの『写真を紡ぐキーワード』とか。
僕のnoteでも少し解説したりしています。
その後は、もうちょっと網羅的な歴史書を読んだり、逆に日本写真史に絞ったりなど、
一部分野に絞って知ることも良いかもしれません。
そうやって写真の歴史を紐解く過程で、本当に多くの作品が過去の作品にインスパイアされて制作されていることに気づくはずです。
僕らの世界にはいわゆる「オリジナル」のものは残されていない、とも言われています。
アイデアとアイデア、過去と今、そうしたスパークで作品が生まれるということをぜひ歴史を通して知って欲しいです。
これは、本当にもっと早くから勉強しておくべきでした。
分かっていたのに、面倒臭くてサボっていた自分に喝を入れたいです。。
7. 展示会に出る
前も別のブログで書いたことがありますが「クリエイターズエキスポ」などの展示会は
フォトグラファーやビデオグラファーの営業における穴場だと思います。
多くの企業の方々が来てくださる機会なのに、正直そこまでハイレベルな表現の戦いが繰り広げられているわけでもないので、
しっかりセルフ・ブランディングをして出せば、相当の効果が見込めると思っています。
birdも3-4年前から出してきて、本当にいろんなお声がけいただいています。
中には提案含めですが、一回で何百万円にもなるような写真のお仕事もありました。(ありがたや〜)
また、こういった展示会に出すことで、客観的に自分のレベルやどんなお仕事をもいただけるのか、
そういう外からの評価というのが分かり易いのも良いところ。
中々「本当はライバルと競い合っている」という意識を生み出しにくいフリーランスの方などには良いかもしれません。
ポイントは中途半端に出さないこと。
出すなら、徹底したセルフブランディングの上、良いグラフィックデザイナーなどに頼んで、
チラシやブースのデザインをしてもらいましょう。
もちろん、自分がどんなクライアントの人に来て欲しいのか、それを明確にして打ち出すのは当たり前。
そういった事前の準備ができていないと、出しても意味がなかった〜という感想になってしまうかもしれません。
僕らも毎回、かなり工夫してブースも作ってますし、規約ギリギリですが椅子をかっこいいのに変えたり、
パンフレットとそれを持って帰る透明の袋も拘ってデザインしてもらったりと、気合を入れています。
若干出るのが恥ずかしい気持ちも分かりますが、とにかくそれさえ振り切って出せば、その先は薔薇色です、、!
以上、7つのもっと早くやっておけばよかった!と思ったことを書いてきました。
どれも、本当に自分にとっては、効果があったことを書いたつもりです。
是非是非どれか一つでも、実践してみてください。
そして、何か質問などがあれば、いつでも質問をください!
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