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深夜のおっさん選手権 その1

Mao Yashiro

一期一会、なんてもんじゃない。


なんてことない

「そんなわけあるか」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰路に着いた23時。

くらい、暗い住宅街。

頼りになるのは時折横を通る車のライトと、

30メートル間隔で立っている、丸い街路灯(こちらの方が頼りない)。

眠い、しかしそれ以上に仕事がうまく進んで、カタカタと片付いて嬉しい。ドミノを倒し切った気分である。
足取りは、耳から流れこむ音楽に合わせて弾んでしまうくらい軽やかだ。!

(上海ガッニ たっべったいっ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、私が歩いている細い道の向こうから、白い浮遊した何かが向かってくるのが、見える。

浮遊といっても、その下に人間の体があるのもぼんやり分かるから、それは間違いなく人間なのだけれど。

 

近づく、(腕が見える)

 

 

 

近づく、(スーツの黒が見える)

 

 

 

近づく(男の人だ)

 

 

 

と、

わかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

白の浮遊、

 

 

それは、シロクマだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勿論これは動物でなく、ご当地グルメの白いアイスである。(フルーツザクザク)

 

オーソドックスなかき氷タイプでなく、バータイプ。

 

歩きながら食べるのには俄然このタイプだろう。

 

 

いや、しかし私は俄然かき氷タイプ(丸永製菓) だ

 

なんて勝手に思っていたとき、

 

 

男性の顔が街路灯で照らし出された。

 

 

「男性の顔」。

これを、今文字を打ちながらでも鮮明に、詳細に思い出すことができる。

 

 

 

…本当に冗談だと思っていただいていい。

 

 

 

 

けれど本当に、「そんな」顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

まさしく、

 

 

 

 

「わ、バレた!」

 

の顔。

 

 

 

しろくまをかじろうとしたが、

向かい合って七歩圏内に入った女(私)に気が付き、

 

既の所で辞め、

あんぐりと開けた口からバーを離しつつも、自分の方へ引き寄せる。

 

これがほんの1.5秒。

 

 

 

 

自分より2回りは上の、言って見ればおっさん(愛でるに近い心持ちで失礼ながらそう呼ばせて頂きたい)なのだが、

その方の気持ちが解る気がして、そうなると勝手に恥ずかしくなり、それでも勝手に愛おしかった。

この気持ちは彼の足音が私から離れていくほど、

消化器官の間をスイーっとはい上がり、胸のあたりをぐいぐい押してくる。

 

私はイヤホンの曲に意識を戻す。

 

 

(上手に食べなよ こぼしても いいからさ)

 

 

 

 

 

 

気持ちのいい夜だ。

 

足取りは一層軽快になった。