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History of Japanese Fashion Photography

ファッション写真って何? -日本ファッション写真の歴史- その2

shuntaro

前回はまず、ファション写真って何?という疑問を提示するという、この壮大な話の発端をお話ししました。
今回は、ファッション写真を考える前に、ファッションについて考えてみよう!というお話です。
堅いお話なので、デスマス調に今回から変えましたw

ファッションという言葉は、実はとっても扱いが難しい。
ファッションって何?と聞かれたら、ほとんどの人が洋服のこと、とか、そのスタイルのこと、と答えるでしょう。
それはもちろん正解、大正解。
でも、ファッションの元となっている”fashion”という英語には、流行という意味もあって、必ずしも「衣服」にだけ使う単語ではありません。
また、例えば、モードという言葉もあります。
こちらはフランス語由来だけど、英語でも使うし、こちらも洋服とかスタイルのことを指しているのに、ちょっとファッションとは守備範囲が違う感じ。
それから、ファッションっていう時には、単なる衣服やコスチュームとは違った意味合いを持っていることはみんな感じることだと思います。
作業着は、そのままの文脈ではファッションとは、ほとんどの場合呼ばないよね。
じゃあ、流行の洋服のことだけ指してるかというと、「あの人のファッションダサいよね」という文では、ファッションはその人の着ている衣服のことを指していて、流行の洋服を指してはいないし、ファッショナブルなインテリアとかって使い方もできるわけで、洋服や流行を指しながらも、なんとなく使う時には、ある程度意識的に使える、使えないを差別化してると思います。

ということで、なんとなく考えていても仕方がないので、まずは「ファッション」ってなに?ということを考える上で、3つの方向から考えてみよう!

1. ファッションという言葉の由来(言語的側面)

2. ファッションという言葉の意味(社会的・文化的・哲学的側面)

3. ファッションの歴史

まずは1から。

1. ファッションという言葉の由来(言語的側面)

ブランド・マーケティングに関する研究者の平山弘さんの「ファッションの持つ意味についての一考察 -マーケティング研究対象として取り上げるために- 」という論文を読むと、modeとfashionの語源について調査が載っているんですが、気になる方は読んでいただくとして、簡潔にまとめると、

・ファッションは、英語のfashion由来だが、「流行」という意味合いは薄く、「自分自身を表現するための服装・衣装・服飾といった、身体を覆うもの」というのが第一義
・モードはフランス語由来で、英語でも同様に、「伝統と歴史に彩られた高級なイメージを意味するものとして、芸術性のある
もの、またそうした価値を持っているもの」

ということ。
ただ、最初の頃はファッション=流行という言葉の捉え方が一般的で、例えば、1931年に刊行された『商業写真術』には、ファッションやモードという単語は使われてなく、欧米のファッション雑誌を「流行雑誌」と呼んでいる記述があるに留まっていました。
また、「ファッション」という言葉が使用された例として、『角川外来語辞典』には、1884年に丸善商社(現・丸善雄松堂書店)から刊行された 『百科全書』での「流行(ハション)」、及び 1930年に刊行された 十一谷義三郎(1897-1937)の小説『時の敗者唐人お吉』内の「時世粧(ファッション)」という事例が最初期の使用となっていて、どちらも「流行」の意味が強いです。
モードも同様に、最初は流行という意味で使われていましたが、こちらは割とすぐに、現在でいうところファッションの意味に近い使われ方をしています。
とはいえ、当時は着物などの和装が普段着であったため、モードとは上流階級の着用する洋装を主に指す単語でした。

モードがフランス語語源であり、フランスこそが長年ファッションの流行発信地であったことを考えると、モードという時には、より高級で、アート性の高い「オートクチュール」(これについては後のブログで詳しく語りますが、今は、マリーアントワネットのような貴族が着ていたようなドレスとか、パリコレとかで出てくるような、これ着られるの・・?みたいな衣服を思い浮かべておいてくださいw)をベースにした、より感度の高い衣服を指すと考えるのが現在では一般的でしょう。
同じような意味の言葉として、ハイファッションと呼ばれることもあります。


http://harpersbazaar.jp/fashion/why-couture-fashion-is-important-170202

それから、ファッションについて、今は流行の意味よりも、自己表現のための衣服を指し示すと言いましたが、「ファッショナブルな・・・」という言葉には流行の意味の方が強い感じがします。
でも、これも「最新のファッションを取り入れる層の好むスタイル・テイスト」といった意味が強いので、結局は自己表現のための衣服を中心とした文化のことであり、その流行に乗った層が、それを手に入れることで他者から区別される、という現象を含んだ言葉だと捉えられますよね。

つまり、ファッションとは、「自分自身を表現するための服装・衣装・服飾といった、身体を覆うもの」であり、そこに流行が生じることで、社会の中で優劣が生じるものである、ということが見えてきました。
ファッションはそういった意味では、単なる衣服のことじゃなくて、

自己表現のためのもの

であるということがすごく大切なキーワードなんです。
そして、これは自分の身体と非常に密接な関係を持っています。
だって、衣服って、身体を覆うためのものですから。
でも、それだけに止まらない。
自己表現をするということは、社会と自分の関係性の問題でもあるんです。

2. ファッションという言葉の意味(社会的・文化的・哲学的側面)

では、1の最後の話をもうちょっと膨らませて考えていきましょう。

世の中には「ファッション学」と呼ばれる学問分野があって、ここでは様々な専門家が、様々な立場からファッションを研究しています。
世の中の人は、ファッションというとパリコレ、とかファッション雑誌的な世界しか思い浮かべないと思いますが、ファッションってすごく文化的に興味深いんです。
で、そういった人たちはどんな風にファッションを捉えてるかを調べることで、ファッションの意味をより深く考えてみましょう!

「ファッションとはすべて身体の表面で生起すること、表層の形式(スタイル)にかかわることだ。内容ではない。・・・・むしろ、語のあらゆる意味での無内容こそモードの本質である。」
と、難しい感じで語っている(失礼)のは、文学者の山田登世子さんです。
山田さんの「ファッションの技法」という本からの引用なのですが、本自体は学生への講義のような形で書かれていて、とても読みやすいので、ファッション学の入門書としてぜひ興味のある方は読んでみてください。
横にそれました。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%8A%80%E6%B3%95-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8%E2%80%95%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%8D%E3%82%B9-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E7%99%BB%E4%B8%96%E5%AD%90/dp/4061493744

他に有名な哲学者の言葉としては、フランスの哲学者でファッション研究で必ず出てくる超著名な『モードの体系』の著者であるロラン・バルトは、「モードは進歩しない。ただ変化するだけだ。」と述べています。
またまた、超有名な社会学者であるジャン・ボードリヤールは、モードとは「起源の不在と循環を押しつける」と言っていて、なんのこっちゃという感じですw

でも、多くのこう言った人たちの主張のポイントは、ファッション(の流行や形態)って、いつ始まって終わるか分からないよね、どんどん変化していっちゃうし、いつの間にかこないだまでカッコ良かったのにダサくなっちゃうよね。
つまり、単なる衣服じゃなくて、ファッションっていった時に思い浮かべるものって、なんだかふわふわしていて、これって言えないんだよな〜という僕らの持っている感覚を言葉にしているだけなんです。
ファッションには、これがスタートって言えない形とか流行があって、常に変化し続けて、現れては消える、そういうもので、あんまりそれ自体に意味とか求めちゃダメだよ、ってことがまずポイントです。

これは、modeっていう単語で考えるとしっくりくる説明があって、この言葉の起源はラテン語の「modus」、「様態」って意味の言葉なんですが、modusっていうのは、17世紀の哲学者だったスピノザという人が、この世のものは、「たった1つだけ存在しあらゆる属性を持つ実態」、つまり神や自然が、様々な形に変化したものである、ってことを言っていて、その神や自然の変形した派生系が「modus=様態」なんです。
だから、神とか自然とかってのは置いておいても、自然現象のように、突然出てきて変化するってことはファッションやモードが最初から持っていた本質だと考えられます。
そして、衣服という形をとっていますが、ファッションとは、人間である僕らの身体のという自然の様態なんですよね。

ちょっと横に逸れましたが、続けます。
ファッションの「誕生」は、詳しくは3つ目のポイントである歴史で説明しますが、割と最近のことです。
でも、衣服ってそれこそ原始時代の獣の皮の着用から始めることもできるし、多くの民族が独自の進化を遂げた「服飾」文化を持っています。
ですが、ファッションという言葉を今日用いるのは、オートクチュールの登場に端を発した、ある特定の洋装文化の大流行をベースにしてるんです。
そして、現代のファッションもそうですが、実用性という意味ではほとんど意味のない衣服の「服飾」の形式とその流行をファッションと呼びますよね。
そう言った点を踏まえて、上述した様態的なファッションの本質を捉えると、

ファッションとは、衣服を媒介として、人々の身体を様々な様態に演出することであり、それによって起こる「流行」という社会現象のことを指す

と考えられます。

さて、ここから深掘りしていきたいのですが、今回はここまで。
次回は、この続きとして、上記のファッションの考えを、更に2つの考えるポイントに分けて書いていきたいと思います。
うまくいけば、歴史の話まで書けるかも。

では!